〈1.1大震災〉子どもたち、けなげ 珠洲の避難所で自習や宿題

避難所で昼食を食べる子ども=8日午後0時半、珠洲市飯田小

  ●本来は9日始業式 学校再開見通せず

 能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登2市2町の小中学校で授業再開のめどが立たない。9日は3学期の始業式の予定だったが、多くの学校が避難所に使われ、児童生徒も共同生活を送る。被災でふるさとを離れた子もいて「友だちに会いたい」と不安の表情を見せながらも、子どもたちは教科書やノートを持ち込んで自習に励むなどけなげな姿を見せている。

 珠洲市ではほとんどの小中学校が避難所になっている。発災から1週間となった8日、飯田小では昼食に用意された炊き出しの雑炊を食べる子どもたちの姿があった。

 ランチルームで寝泊まりする4年の濱心花(このか)さん(10)=同市上戸町北方=は「地震が起きてから、冬休みの宿題をする時間がなかった。友だちが市外に避難し、いつもは楽しい学校なのに寂しい」と口にした。

 みさき小4年の畠田莉穂(りほ)さん(9)=同市三崎町細屋=は母の里美さん(38)や弟、祖父母とともに滋賀県の親類宅に避難した。里美さんは「揺れが収まらないし、道路の状況も悪い。しばらく安全な場所に避難することにしたが、落ち着いたら子どもと珠洲に帰りたい」と語った。

 学校の再開の見通せない中、大谷小中では避難生活を送る子どもたちが1日約2時間の「学習タイム」を設け、自習に励む。大谷地区は集落が孤立、学校に約300人が避難したが、児童生徒23人全員の無事が確認されている。

 宝立小中に身を寄せる9年の越後咲良(さら)さん(15)は高校受験を前に「本来なら追い込みの時期。勉強を教えてくれる人がいない。せめて落ち着いて受験対策ができる環境がほしい」と焦りを募らせる。

  ●迫る受験「乗り越えたい」

 高校3年生は13、14日に大学入学共通テストが控えるが、机に向かう時間は激減した。飯田高の男子生徒(18)は「避難所は人の出入りがあって勉強になかなか集中できないけど、何とか乗り越えたい」と前を向いた。

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