余震ない沖縄で「ゆっくり寝て」「一人で被災地に残る母が心配」 受験控える中3の息子送り出す 石川県七尾市

能登半島地震で地元の小学校に避難し、布団や毛布で寒さをしのぐ住民ら=2日、石川県七尾市和倉小学校(宮城幸恵さん提供)

 能登半島地震で被災した石川県七尾市在住の宮城幸恵さん(56)=那覇市出身=は、厳しい寒さの中で断続的に余震が続く中、中学3年生の息子を沖縄に避難させた。本紙の取材に電話で応じた幸恵さんは、水道や下水道が復旧していないためトイレや風呂、炊飯など大量に水を使うことはまだまだ難しい状態で、夜寝ている時も地震で飛び起きることもあるという。「沖縄でとりあえずゆっくり眠ってほしい」と願った。

 7日、那覇空港に到着した息子は「沖縄は揺れがなくぐっすり眠れそうだが、被災地で一人で過ごす母のことが心配」と複雑な表情を見せた。学校が始まる15日頃まで滞在する予定。3月には高校受験も控えており、「沖縄ではゆっくり勉強して、過ごしたい」と話した。

 幸恵さん親子は地震発生後、丸1日避難所の小学校で過ごした。市内の住宅は倒壊し、道路は地割れしていた。避難所には、近隣の温泉旅館から毛布や布団の差し入れがあったものの寒さは厳しく、頭までかぶる子どもたちもいた。その後、金沢の知り合いの家やホテルを点々とした。

 幸恵さんが勤務する七尾市の福祉施設では、地震の影響で出勤できない人もいる。仕事が休めず、息子が一人で過ごすのを心配し、沖縄にいる娘(32)の家へ避難させることを決めた。

 羽田空港での日航機炎上事故直後でもあり、息子は搭乗に不安も抱える中で那覇に向かった。無事に沖縄に到着したことに、幸恵さんは「息子が沖縄で安全に生活してくれれば」と話した。(社会部・垣花きらら、南部報道部・又吉健次)

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