【被災地ルポ】凄まじい津波の力で船が陸に 『水がない』…開店前から長い列 静岡県は人的・物的支援次々と /能登半島地震

1日に発生した能登半島地震。静岡朝日テレビは、石川県に取材チームを派遣しました。

地震発生時、静岡県内では袋井市で震度4を観測。他にも浜松市や富士市など、県内の広い範囲で震度3の揺れを観測しましたが、静岡県内での被害は確認されていないということです。

静岡県から人的・物的支援

@新東名浜松サービスエリア(1日)
竹内一夫カメラマン:「午後10時を過ぎました。県警の応援部隊が被災地へと向かいます」

県は地震発生のおよそ4時間後に、応援部隊を被災地へ派遣することを決定。県警広域緊急援助隊と県緊急消防援助隊が石川県の被災地に入り、救助活動を開始しました。

そして3日には、石川県からの要請に基づき、県がパンやお米の備蓄食料7320食を石川県かほく市へ送ることを決めました。職員によって食料がトラックに積み込まれ、その日のうちに現地に到着したということです。

また、富士宮市では、職員2人とともに所有している2台の給水車のうち1台を石川県に派遣しました。給水車は約2トンの水を運ぶことが可能だそうです。

今回の地震による石川県内の死者は、5日午後2時の時点で94人。安否不明者は222人となっています。また、350の住宅被害が報告されていて、3万2000人あまりが避難を続けているということです。

1月2日 石川県志賀町

今回、静岡朝日テレビの記者が取材で石川県に向かいました。

白鳥衛記者:「志賀町役場です。町内のほぼ全域で断水が発生したため、午前11時から給水パックを配布している。配布から1時間が経った今もこのように長蛇の列ができている」

給水をもらいに来た住民
Q.いつから断水している?
A.「水はきのう(1日)の夕方5時ぐらいから出なかった」

Q.お風呂や食事は?
A.「うちらはお正月でおせちを作ってあったので、それをなんとか食べたんですけど、洗うものは全然洗えないから」

Q.お風呂とかも?
A.「お風呂も入られるような状態じゃない」

白鳥衛記者:「道路が完全に割れていて隆起している箇所も見られる」

最大震度7を記録した石川県志賀町。建物の倒壊や地割れなどで通行できなくなっている道路が多くあります。停電しているため、日が暮れても、志賀町の民家には明かりが灯りません。

住民(夫):「食べ物は自分は電気をつけていたので、妻がコンビニで買ってきた。家で火を使おうにもみんな電気が必要だから…」

Q.今は電気も水道も止まっている状態?
A.「一番大事な便所が。地震が来た直後が水がまだ出たから風呂に水を張って、バケツに水をくんで一回一回流している」

こちらの70代の夫婦は、家が高台にあり、津波のリスクは低いと考え、避難所にはいかず、自宅でそのまま生活を送る決断をしました。

電気は自前のバッテリーで何とかやりくりしていますが、先行きの見えない、余震に怯える日々が続きます。

住民(妻):「大変です。寒くて寒くて…」

1月3日 石川・七尾市

次の日、取材班は石川県七尾市に入りました。

白鳥衛記者:「津波の被害を受けた七尾市の能登島です。海からすぐそばの道路には立てられていたとみられる柵や漂流物が散乱しています。また奧を見てみますと、船一隻が海沿いの道路に流されているのがわかります」

近くの漁港から船が流され、何隻も道路に乗り上げていました。流されていたこの船の持ち主に話を聞くことができました。

船の持ち主 石川・七尾市
「大した高さではなかったはずだが、すごい動かしたり、いろいろと物も無くなったりしたので、大したことないと思いながら、現状を見ると怖い」

「地震を受けて気持ちが高ぶっているが、きっと本当につらいのはここから。自分の近所の人たちとか、民宿している人たちとか、いろんなことしている人たちも、いつまた立ち直れるのか…」

一方で、市内のスーパーでは…

白鳥記者:「発災から2日が経ちましたが、こちらのスーパーマーケットには水や食料を求め、開店1時間前から長い行列ができています。またきょうは早朝から雨が降っているということで、凍える寒さの中みなさん開店を待っています」

利用者
「電気は大丈夫だけど、水が止まっている状態」
「やっぱり飲み物、水ですよね。きのうもここに来たけど、全部売り切れている」

この日は普段より早い時間に開店しましたが、それと同時に2リットル6本入りの水を多くの人が求め、すぐに無くなってしまいました。

食料品コーナーでも、ほとんどが品切れ状態となっていました。

復旧作業が行われる七尾市内。住宅の多い場所では、1階が潰れてしまった家屋も多く、道路は隆起している場所もありました。

30年近くやっているこちらの寿司屋でも、復旧作業に追われています。地震のあった当日、店は休みで、すぐにお兄さんと一緒に避難所に行ったということです。

店内にはまだ手がつけられていない状態の割れた食器が、また床にビンやグラスが散乱していました。

店主:「(避難所に)ようやく仮設トイレ入ったし、少ないけど食事もできてよかった」

Q.いま何が一番大変?
A.「一番はゆっくり足伸ばしたいけど、片付けられないから、足を伸ばせるところが必要」

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