地震から1週間

 「待つ」という字は、手にものを持ってその状態を保ったままで止まっている「寺」に「道」を示す「ぎょうにんべん」が合わさってできたのだという…こんなに切実にこの文字のことを考えたことはこれまでなかった▲能登半島地震は元日夕の発生からきょうで9日目。道路網が寸断され、冷たく降る雪や雨が人の行く手を阻んで、被害の全容すら依然として明らかにならない▲通信社のニュースメールが〈24地区で少なくとも3345人が孤立している〉と、石川県の発表を伝えてきたのは昨日の夕方のことだ。「孤立」と呼ぶにはあまりにも数字が大きい。その誰もが、おそらく長い長い一日を重ねながら、ひたすら待っている▲水や食べ物は、寒さは…と心配は尽きない。せめて、少しずつでも“かたまり”になって、この時間を過ごしていてくれないか-と、人のしぶとさを信じ、たくましさに期待することしかできずにいる▲街頭での募金活動をはじめ、県内でも支援の動きが広がり始めている。きょうの地方版には防寒具の編み物を思いついたグループの記事がある▲大規模災害が続いた平成の時代に培われた“善意の瞬発力”がきっと今、日本中で行き場を探している。それが存分に発動される時まで、どうか無事で-と、同じ祈りをまた繰り返す。(智)

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