「これ以上栽培を続けることができない…後悔はない」“タケノコ王”風岡直宏さん8月で“農家”引退 酷使した体が悲鳴“前倒し”を決断

2025年春での引退を宣言していたピンク色の服装と明るいキャラクターで人気者となった「タケノコ王」こと、タケノコ農家の風岡直宏さん今年8月を最後に引退することを明らかにしました。引退を早めた理由は、日本一を目指すタケノコ作りで酷使した体が悲鳴を上げたためでした。

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静岡県富士宮市内房の山あいにあるスギやヒノキの林の中に完成したツリーハウス。手がけたのは「タケノコ王」こと、タケノコ農家の風岡直宏さん。この山の所有者の協力を得て、2023年7月から工事をはじめ、4か月で完成させました。

<タケノコ農家 風岡直宏さん>
Qツリーハウスを選んだのは?
「子供のころからの夢。少年がそのまま大人になったのが僕です。子供のころから思い描いていました。トムソーヤの冒険とか、必ず木の上に住んでいますよね」

風岡さんが子ども子供の頃からの夢を実現したお祝いの席で衝撃の発表をしました。

<タケノコ農家 風岡直宏さん>
「2025年で引退すると言っていましたが、2024年、つまり今年でタケノコ王の直売所を閉店します。今までありがとうございました」

風岡さんは、タケノコ農家をめぐる環境の悪化などから経営する直売所「風岡たけのこ園」を2025年春での閉店を宣言していましたが、1年弱早めると明かしました。

<タケノコ王 風岡直宏さん>
「去年12月に足の定期健診があって、5年前に手術をやっているんですけど、レントゲンを見せられて愕然としました。もうこれ以上、タケノコ栽培を続けることができない。体のことを考えたら、今年でも引退が遅すぎたと感じましたね。今年だけはしっかりやりますけど、今年で引退させてくださいっていう感じですね」

風岡さんは、富士宮市内と山梨県内にある約5,000坪の竹林でタケノコを育てています。柔らかでアクが少なく、味が濃い風岡さんのタケノコは太陽があまり当たらない急な斜面で作られます。

<タケノコ王 風岡直宏さん>
「ここが僕の竹林です。急斜面でしょ。わかります?木材チップまいてある。これ100メートル上までまいてある。どうやってまくか分かります?背負って100メートル上まで持っていく。100メートル上まで人力で歩いて持っていく。やっぱり足がねじれますんで、横切るとき足首の角度が変わりますので、非常に足首に負担がかかる。分かります?これ。軟骨の隙間が普通こうある。ここ、骨と骨がくっついちゃっている」

5年前に手術を受けた風岡さんの右足首は、急斜面で繰り返す過酷な農作業によって軟骨がなくなり、タケノコづくりを続けるのはもう限界でした。肥料の価格も、2年前の倍。内房地区には、ほかに若手のタケノコ農家はなく、子どもに跡を継いでもらうことも難しいため、予定を早め、2024年8月での引退を決断に至りました。

最後となる今シーズンもこれまでと変わらないタケノコを出荷しようと意気込みつつ、タケノコを作りたい人が現れれば教えたいとも考えています。

<タケノコ王 風岡直宏さん>
Qこれまでに培ってきた技術知識はどうなりますか?
「仕事にしないと技術とか残らないので、技術継承とか。やりたい人がいたらもちろん教えますよ。ただ世界チャンピオンのトレーニングを公開しても、キツ過ぎてマネできないです。今後歴史が証明しますから、僕以上のタケノコ農家は絶対出てこないですよ。プロのトライアスロン選手だった自分が、トライアスロンよりキツかったと言うんだから。後悔はないです。超えれるものなら、超えてもらいたいです」

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