FIAから幹部のニールセンとゴスが離脱。シングルシーター・スポーティングディレクターにティム・マリオンが就任

 FIAは、1月8日、シングルシーター部門のスポーティングディレクターを務めたスティーブ・ニールセンが退任し、後任をティム・マリオンが務めることを発表した。また、テクニカルディレクターのティム・ゴスもFIAを離れることが明らかにされた。

 ニールセンが辞職する決断をしたという報道は昨年末になされていた。ニールセンは1986年にF1キャリアをスタート、チーム・ロータス、ティレル、ベネトン、アロウズ、トロロッソ、ウイリアムズなどF1チームで働いた後、2017年にフォーミュラワン・マネジメントのスポーティングディレクターに就任。2022年1月に、FIAのスポーティングディレクターに任命された。

 それからの1年、ニールセンは、レースコントロール手順における改善において大きな役割を果たしてきたが、今回のFIAの発表によると、2024年1月末でFIAを離れることが決まったということだ。

 ニールセンは自身が望むような変更が行われていないことに失望したといわれている。彼はフォーミュラワン・マネジメントに所属していた時代、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中に、F1の転戦を可能にするために複雑なロジスティクスを立案した中心人物であり、チームやドライバーたちから大きな尊敬を集めてきた。その後、ニールセンは、F1スポーティング・レギュレーションを、読みやすく理解しやすくし、混乱を解消するための作業に取り組んでいた。

 後任のマリオンは、FIAのシングルシーターディレクターであるニコラス・トンバジスの直属のスポーティングディレクターとして、レースディレクション、ジュネーブのリモート・オペレーションセンター(ROC)を含むすべての競技上の事柄を監督する。マリオンの指揮の下、ニールス・ヴィティヒは引き続きレースディレクターの役割を務める。

 マリオンは、レッドブル・レーシングが前身ジャガー・レーシングの時代に加入し、12年間所属、レースエンジニアリングにおける役割を果たし、2010年から2013年のコンストラクターズ選手権およびドライバーズ選手権の4連覇に貢献した。

2013年 セバスチャン・ベッテル(レッドブル)とティム・マリオン(レッドブル・レーシング・パフォーマンスエンジニア)

 2025年にマリオンはザウバー・モータースポーツに加入し、トラックエンジニアリング責任者を務め、その後、2016年半ばにはBMWモータースポーツでDTMプログラムのチーフエンジニアの役割を担った。DTMで2年間にわたり成功を収め、タイトル獲得にも貢献した後、BMWのフォーミュラEチームのトラックエンジニアリング部門リーダーおよびチーフエンジニアのポジションを経て、2019年にFIAに加入した。

 リサーチ部門責任者を務めた後、2021年にセーフティディレクターに就任。また、ROCの設立においても重要な役割を果たし、2022年5月以降、ROCプロジェクトリーダーとしての業務も担当した。

 一方、FIAは、テクニカルディレクターのゴスがFIAを離脱することも発表した。ゴスは、1990年初めにマクラーレンに加入、2014年から2018年にテクニカルディレクターを務めた人物。その後、FIAに加入し、2023年1月にシングルシーター・テクニカルディレクターの座に就いたが、約1年で離職することになった。ゴスは、今後数週間のうちに、F1チームと契約するものと考えられている。

 ニールセンとゴスの他に、この冬にはFIAモータースポーツ・コミッション女性部門の責任者であるデボラ・マイヤーが契約を更新せずに離職したといわれている。マイヤーの後任はまだ決まっていない。

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