プールで小1溺れて死亡「安全管理が不十分」 報告書で学童保育の不備指摘

男児が死亡したプール事故の検証報告書を浅見市長(手前)に手渡す一杉委員長=9日、長浜市役所

 2023年7月に滋賀県長浜市野瀬町の屋外プールに学童保育の活動で来ていた小学1年の男児=当時(6)=が溺れて死亡した事故で、第三者による市の事故検証委員会は9日、報告書を浅見宣義市長に提出した。男児が通っていた学童保育「キッズパーク放課後児童クラブ」について、児童の泳力の把握などプール活動に特化した安全管理が不十分だったなどと結論付けた。

 委員会は委員長の一杉正仁滋賀医科大学教授(社会医学)ら6人で構成。昨年9月から会合を6回持った。

 同クラブは同市の民間事業者「イケダ光音堂」が市の委託を受けて運営。報告書によると、当日はプールに入った児童45人に対し4人の引率者がいたが、うち1人は見学者に付き添っており、実質3人で監視していた。記者会見で一杉委員長は「監視人数の決まりはないが、少なかったと考えざるを得ない」と述べた。

 また「死亡原因に直結しているかは分からない」(一杉委員長)としながらも、自動体外式除細動器(AED)がプールから離れた事務所に設置してあったことから到着までに5分程度かかるなど、初動対応が十分でなかったと指摘した。

 委託した市についても、2023年6月に国から出た子どものプール活動事故防止に関する通知が、市教委から民間児童クラブを所管するこども家庭支援課に転送されず、周知が図られていなかったことに言及した。

 一杉委員長は「亡くなったお子さんはプール活動の安全性に警鐘を鳴らした。報告書を有効活用し、子どもの安全性を確保してほしい」と話した。長浜市は近日中に報告書を遺族に手渡し、本年度中に再発防止策をまとめる。

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