平家末裔の「上時国家」倒壊 輪島の国重文、茅葺き屋根が地面に

1階部分が押しつぶされ、茅葺き屋根が地面に付いた状態となった上時国家住宅の主屋=8日午後3時、輪島市町野町南時国

 能登半島地震で、平家の末裔が築いた輪島市町野町南時国の国重要文化財「上時国家(かみときくにけ)住宅」が倒壊していたことが分かった。

 1階部分がつぶれ、主屋の厚さ約1㍍に及ぶ豪壮な茅葺(かやぶき)屋根が地面に付いた状態となっている。主屋は約200年前に造られたとされ、間口29㍍、高さ18㍍に達する。金を施した「縁金折上格(ふちきんおりあげごう)天井」など手の込んだ内装や巨大な梁はりが特徴で、2003年の重文指定の際には「江戸末期の民家の一つの到達点」との評価を受けた。

 当主の時国健太郎さん(73)は「大きな揺れでどうしようもなかった。けが人がいなかったのがせめてもの救いだ」と惨状に言葉少なだった。

 付近住民によると、上時国家住宅のそばにあり、同じく重文指定の「時國家住宅」は倒壊を免れた。

巨大で豪壮な造りの上時国家=2022年5月

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