〈1.1大震災〉文化財、爪痕くっきり 伏木で灯籠倒壊、建物傾く

倒壊した灯籠=高岡市伏木一宮の氣多神社

 地震によって液状化や住宅の破損などが多数発生している高岡市伏木地区では4日、多くの文化財に被害が確認された。家屋の傾きやひび割れ、灯籠倒壊など震災の爪痕がくっきりと残り、関係者からは「お手上げ状態だ」との声が漏れた。

 本殿が国指定重要文化財の氣多神社(同市伏木一宮)では、境内の灯籠2基に倒壊や破損があり、昭和初期のこま犬にもずれが生じた。氣多神社奉賛会の北野健一会長(74)は「破損箇所は直さないといけないが、本殿に傷みがなくてよかった」と語った。

 同市伏木錦町の国登録有形文化財「棚田家」では、茶室と水屋が傾いて壁にひびが入ったり、扉が外れたりした。棚田家当主で社会学者の棚田梓さん(80)は「何から手を付けていいのか分からない。どうしようもない」と困惑の表情を浮かべた。

 国登録有形文化財「谷村家」(同市伏木中央町)は液状化によって部屋中に凹凸ができたほか、柱が傾いて曲がる被害があった。当主谷村尚さんの息子明雄さん(50)は、地震発生時に「ミシミシ」と音を立てて柱が割れる様子が今でも忘れられないという。

 このほか、国有形文化財市伏木気象資料館(同市伏木古国府)は内部の壁が一部剥離し、9日まで臨時休館する。重要文化財武田家住宅(同市太田)は内部の土壁がはがれたほか、手洗い場や式台周辺のしっくいもはがれ落ちた。武田家住宅は2月29日まで冬季休館中で、今後の予定は未定となる。

  ●断水で拝観中止 勝興寺

 高岡市伏木古国府の国宝勝興寺は、断水のため拝観を中止した。寺の入り口となる総門の看板に拝観中止を知らせる張り紙が貼られた。寺は本堂内陣の柱の金箔(きんぱく)に裂け目が入り、経堂内部の板戸が外れ、仏具が落下。5日も防災設備の点検と清掃のため拝観を中止し、6日から通水が確認でき次第、拝観を再開する。

  ●高岡城跡の石垣被害

 文化庁は4日、能登半島地震で、いずれも国宝で高岡市の瑞龍寺と勝興寺を含む18件の国文化財の被害が、富山、新潟両県で確認されたと発表した。富山の被害は13件で、高岡城跡では石垣の崩れが確認された。瑞龍寺は白壁がひび割れ、灯籠が倒壊した。勝興寺は本堂の柱の金箔(きんぱく)に裂け目が確認された。

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