小中生が無農薬野菜栽培 小山のサニー農園、活動1年 SDGsを体現、環境省も評価

収穫した野菜を手にする子どもたち

 【小山】松沼の遊休農地を利用して小中学生らが無農薬野菜を育てる「SUNNY(サニー)農園」の活動が丸1年を迎えた。野菜を通じて環境学習や地域交流、社会貢献の機会にもつながり、持続可能な開発目標(SDGs)を体現している。活動を紹介する動画は環境省の「環境教育・ESD(持続可能な開発のための教育)実践動画100選」に選ばれた。

 同農園での活動は、近くに住む障害者施設就労支援員高橋江理(たかはしえり)さん(42)の呼びかけで始まった。遊休農地約200平方メートルを無償で借り受け、費用をかけずにできる自然農法「菌ちゃん農法」を取り入れた。子どもたちの通学路に面しており、楽しみながら地域交流する狙いもある。

 集まった子どもたちは近隣の豊田中や豊田小などに通う十数人。昨年1月に開墾から手がけ、落ち葉やぬか、有機肥料などを利用して畝を作り、同2月に野菜の種まきを始めた。週末を中心に草取りなどの作業を体験。季節に応じて葉物や根菜を作付けし、これまでにネギやカブ、ジャガイモなど約40種を収穫した。

 野菜は、市の環境関連やまちづくりのイベントに参加して配布したり、こども食堂に寄贈したりして、社会貢献や交流につながった。8日には、能登半島地震の被災地支援のために緊急チャリティーマルシェを開催。野菜の販売や収穫体験、募金活動などを行った。

 活動内容をまとめた動画を環境省主催の環境教育・ESD実践動画100選に応募。社会教育部門の事例として、同省ホームページで公開されている。

 活動に取り組んでいる豊田中2年の増田椛(ますだもみじ)さん(14)は「野菜の種類や収穫方法を知ることができてよかった」、生井夏帆(なまいなつほ)さん(14)も「地域の子どもたちと関わることができて楽しい」と笑顔をみせた。

 高橋さんは「みんなが前向きに取り組み、野菜嫌いだった子が農園の野菜をおいしいと言ってくれこともうれしい。これからも他団体と協力して、さまざまなことにチャレンジしたい」と話している。

収穫作業をする子どもたち

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