福井県あわら市で住宅10棟が半壊以上 能登半島地震、罹災証明書申請は45件 あわら温泉の大半は通常営業に

コンクリート塀が大きくずれた住宅=1月9日、福井県あわら市滝

 福井県あわら市は1月9日、能登半島地震で市内の住宅約10棟が半壊以上の被害に遭ったことを明らかにした。罹災証明書の申請は8日正午時点で45件に上っている。市は「今後も申請が増えるのではないか」としている。

 同市によると、45件のうち25件について全壊か半壊か一部損壊かを調査中。江守耕一総務部長は「おそらく半壊以上は10棟前後」としている。

 地震の二次被害の防止を目的とした応急危険度判定は計38棟で実施。地区別では「細呂木駅前」が17棟と最も多く「北潟西」11棟、「北潟東」7棟などとなっている。6棟が「危険」、14棟が「要注意」と判定された。

 同市滝では住宅3棟が並ぶ地盤が大きくずれ、コンクリート塀などが崩れ、応急危険度判定で「危険」と判定された。会社員の男性(61)宅には危険と記された赤い紙が貼られた。80代の母親と福井市内の兄の家に避難しているという男性は「家の中で少し跳びはねただけで家が揺れる。40年近くここに住んできたが、もう暮らすことはできない。罹災証明されたら、あわらの市営住宅に住むことになると思う」と肩を落とした。

 市役所で定例会見に臨んだ森之嗣市長は「市民にとって不安な1週間だったと思う。安心して生活できるよう一日でも早い復旧に全力を尽くす」と述べた。同市では1日の地震で県内最大の震度5強を観測した。

あわら温泉は大半が通常営業に

 あわら市は9日、能登半島地震で一部被害を受けたあわら温泉の旅館の現状について、各旅館に確認したところ、一部を除いて通常の営業態勢に戻っていると説明した。

 市は4日に各旅館に被害状況の確認を行い、5日時点で23軒から返答を得た。ほとんどの旅館で宿泊客を受け入れる態勢が整っているものの、一部の旅館は損壊箇所のメンテナンスなどで休館しているという。

 ただ、連日の地震報道の影響で予約客のキャンセルは続いており、グランディア芳泉の山口高澄常務は「キャンセルのピークは過ぎたが、2月末までの予約分に影響が出ている。カニのシーズンでもあり、打撃は大きい」、清風荘の担当者は「北陸を回るツアーのキャンセルなど、予約の取り消しは一部で続いている」と話した。

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