3年生、冬物語(1) バスケットボール女子 縁の下でチームを支えた明豊の「3年生力」 【大分県】

8年ぶりに全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)に出場した明豊。2回戦で敗退となったが、最後のコートには3年生の姿があった。第3クオーター途中、30点差を追う厳しい場面で、1年間徹底して磨き上げた2-2-1のゾーンプレスを仕掛けた。コートに送り出した杉山真裕実監督は、「ディフェンスからの速攻で点差を詰めたかった。力のない学年と言われていたが、最後までボールに食らいつき、それぞれの役割を果たし、明豊らしいバスケをしてくれた。3年生の大きな背中を、下級生は目に焼き付けたと思う」と語った。

2年生が先発に名を連ねるチームを、3年生は縁の下で支えた。練習では声を張り上げて盛り上げ、試合ではベンチから指示を与える。キャプテンの坂本叶(3年)は「少しでも明確なアドバイスをしたい」と、スコアシートの記録係を買って出た。

大会前日の夜、3年生6人が坂本の部屋に集まってミーティングをしたという。「メンバーに入っても外れても最後まで自分たちの役割を全うしよう」、「どんなことがあっても泣かないように」と誓った。その翌日の朝にメンバー発表があった。杉山監督から「ごめん」と言われた瞬間、3年の坂間柊果と中村桜は、悔し涙を必死にこらえた。「悔しかったけど、監督が夜遅くまでメンバーを選考していたのは知っていた」(中村)と気持ちを切り替え、応援席からメガホンを持って声援を送った。

最後まで声援を送った坂間柊果(右)と中村桜

チームの勝利のために献身的に動く3年生の姿を見て、下級生が燃えないわけがない。「3年生に必ず1勝をプレゼントする」と臨んだ1回戦は格上相手に勝利。明豊のウインターカップ初勝利を刻んだ。杉山監督は「3学年の思いが一つになった。一体感が勝利をもたらした」と胸を張り、坂間は「チームが勝ったことが一番」と喜んだ。

3年生にとって、夢舞台での挑戦は2試合で終わった。「これで終わるのは寂しいが、やりきった。悔いはない」(坂本)と思う者もいれば、「この3年間の経験を大学で生かしたい」(中村)と、次のステージへの第一歩とする者もいる。今後はそれぞれの道を進むが、「3年間続けることができたのは仲間のおかげ」(坂間)との思いは同じ。3年生のチームへの思い、勝利のために尽力する姿は、下級生に伝わったはずだ。

2回戦では3年生が粘り強い守備を見せた

(柚野真也)

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