長崎・北陽台高の橋元さん 算数・数学の自由研究作品コン最優秀賞 「陸上800メートル題材に、疑問を解明」

最優秀賞の賞状と盾を手にする橋元さん=長崎北陽台高

 全国の小中高生を対象にした「算数・数学の自由研究作品コンクール」(理数教育研究所主催)高校の部で、長崎県立長崎北陽台高文理探究科1年の橋元南緒さん(16)が県内初の最優秀賞(塩野直道賞)に輝いた。自身が打ち込む陸上800メートル競走を題材に、日頃の疑問を解き明かし、「自分が興味がある陸上のことで賞が取れたのが何よりうれしい」と喜びを語った。
 同コンクールは、日常生活で感じた疑問を数学で解決する作品などを募集。本年度は約1万5700件の応募があり、うち高校の部は1780件だった。長崎北陽台高では1年生が夏休みに研究した計162件を出品。県内から最優秀賞が出たのは全部門通じて初めてという。
 橋元さんの研究テーマは「陸上競技を数学で解く~スポーツの平等性について~」。800メートル競走では最初各自のレーンを走るが、第2コーナー付近に引かれた曲線「ブレークライン」を境にオープンレーンに移行し、激しい位置取り合戦が展開される。橋元さんは、平等性のために曲線となっているブレークラインについて、もしレーンに対して真横に直線で引かれていれば、外側のレーンを走る時にどれほど距離的不利が生じるか、距離的不利を小さくする方法はあるかを研究した。
 橋元さんは「三平方の定理」など中学校までに習った数式を使い、複数の場合分けをしてレーン別の走る距離の違いなどを計算。その結果「ブレークラインが直線だったら外側のレーンの方が距離的不利が生じやすいが、走るコースによってそのハンディを小さくできる」と証明した。
 競技を始めた中学時代から感じていたという疑問を解き明かし、審査では「身近な疑問も数学で解決できるというよい例」と評価を受けた。橋元さんは「ブレークラインを越えてすぐ内側に入るのではなく、第3コーナーの曲がり角をめがけてじわじわと内側に入っていくことで走る距離が短くなることもあらためて分かった。競技にも生かし、次は陸上でインターハイを目指したい」と笑顔で語った。

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