川の音で身動き取れず…目の不自由な高齢者、高1・小6の兄弟が保護 「勇気ある行動」小川署が感謝状

及川直美署長(右)から感謝状を贈呈された荒井柊介さん(中央)と弟の楓向さん(小川署提供)

 川べりで身動きが取れなくなっていた高齢男性を自宅まで送り届けたとして、埼玉県警小川署は同町居住の兄弟、私立東京農業大学第三高校1年の荒井柊介さん(16)と町立大河小学校6年の楓向さん(11)に感謝状を贈呈した。

 同署によると、昨年10月16日午後6時20分ごろ、2人が犬の散歩をしていると同町上古寺地内の川べりに立ちすくみ遠くを見つめる80代の男性を発見。「川に落ちたら大変だ」と思い声をかけると、男性はほっとしたような表情で「目が悪いので耳を頼りに歩いていたら、川の音が聞こえてきて、身動きが取れなくなってしまった」と答えたという。

 話していると近所に住む人だと分かり、道案内をしながら男性の自宅まで送り届けた。同日午後6時4分には、男性の同居家族から「目の悪い父が畑作業に出たまま帰ってこない」と110番が入っていたという。

 柊介さんは「特別なことをした気持ちはないけれど、自分のしたことが人助けになってうれしい」、楓向さんも「いつも、困っている人がいたら親切にしようとしていた。人助けができて良かった」と、共に胸を張った。

 同署の及川直美署長は「2人の勇気ある行動で尊い命を救っていただき感謝します」と功労をたたえた。

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