山形市循環バス「南くるりん」利用幅広く 地域の足、本格導入へ期待感

試験運行の開始以降、幅広い世代に利用されている南くるりん=山形市・イオンモール山形南前

 山形市の滝山地区など南部エリアを対象に、市が新たな公共交通の導入を目指して展開するモデル事業の循環バス「南くるりん」は、今月で2023年度の試験運行を終える。昨年8月の開始以降、学生から高齢者まで幅広い世代に利用されている。増便やダイヤの変更を望む声も寄せられており、市は24年度の試験運行に反映させながら将来的な本格導入につなげたい考えだ。

 山交バスが受託事業者の南くるりんは、イオンモール山形南を発着地点に、東北芸術工科大や山形大医学部付属病院などを回る。昨年の8月と10月、今年1月の計3期間を運行期間とし、午前8時台~午後8時台に1日20便を走らせている。料金は中学生以上200円から。

 市によると、8月と10月の利用者はそれぞれ約2千人で、想定していた人数の2、3割程度にとどまっている。「買い物に一人で行けるようになった」「遊びに行ける」など生活面でプラスの変化を実感しているとの声が聞かれる一方で、「より遅い時間帯に運行してほしい」などの要望も寄せられているという。

 今月については、降雪期の利用状況を把握する目的で運行する。東北芸術工科大が夏休み期間中の8月と、講義があった10月を比較しても利用者数に大きな変化がなかったことを踏まえ、運行期間は当初の予定より短縮して15~31日とする。終了後は全データを分析し、24年度も試験運行を継続する方向で検討する。

 試験運行に関わる滝山地区町内会連合会の土田富夫会長は「南くるりんの本格導入に高齢者は期待している。買い物で利用する場合は荷物が増えて大変な面もあるので、福祉協力員のヘルプをもらうなど、アイデアを出し合って取り組みたい」と話している。

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