愛知の工業高校生が手作りロボットでバトル! 競技中にトラブルも…白熱した戦いの裏側へ【前編】

第16回愛知県工業高校ロボット競技大会

ロボットの制作を通して、技術や技能の向上を目指すだけでなく、仲間とのものづくりの楽しさを感じてほしいと、2009年から始まった「愛知県工業高校生ロボット競技大会」。愛知県内の工業高校22校が手作りロボットを持ち寄り、その技術を競います。

これまでに、テニスや玉入れ、ラグビーなどさまざまなテーマでロボット作りに挑戦し歴史を重ねてきました。第16回目となる今回、高校生たちが挑むのは、制限時間3分の中で2台のロボットを操作しコンテナボックスを運ぶ競技です。2つのフィールドにそれぞれ1台ずつロボットを配置。メンバー同士連携をとりながら、コンテナボックスをもう片方のフィールドの指定された場所に積み上げます。勝敗はフィールド内にある障害物の撤去の数、積み上げたコンテナボックスの数の合計ポイントで決まります。

愛知県内の工業高校22校23チームが参加 優勝を目指す!

チームは2台のロボットそれぞれに、操縦者とサポーターという役割で各校から4名が1チームとして競技に参加します。定時制を含む23チームが優勝を目指します。最初の予選で23チームから上位8チームが決勝トーナメントに進むことができ、準々決勝は4チームずつに分けたグループ戦。各グループ上位2チームが決勝戦に進みます。

豊川工科高校は毎年上位の強豪校

愛知県立豊川工科高校

豊川市の中心部にある豊川工科高校。理工系女子の育成に力を入れているこの学校では、今回男女2名ずつの混合チームを編成しました。上杉美愛さん、今泉七瑠さん、棟方克貴さん、伊藤大賀さんは電子回路や電気技術を学ぶ電気科のクラスメート。工具の扱いやロボット作りは専門外ですが、機械部に所属していた棟方さんがそのノウハウを活かし中心となってロボットを作っていきます。故障と改善を繰り返し何度も行い、より優れたロボットへ改良を進めていきました。

スタート直前にトラブル

大会当日、予選競技開始直前にロボットが動かないトラブルに見舞われた豊川工科高校。チーム全員が集まって原因を探ります。なんとかスタート15秒前に復旧し競技が始まりました! ミスが連続するも声を掛け合って冷静にコンテナを積み上げていきます。

残り2つコンテナを積み上げれば高得点というタイミングで惜しくも制限時間に。結果は11位と予選敗退。この結果に、棟方さんは「練習ではできたけど、本番で発揮できなくて悔しい」今泉さんは「機械を扱うことが電気科ではなかなか無いので経験できてよかった」と話しました。

歴代最多優勝のロボット部 名古屋工業高校

6回の優勝実績を誇る名古屋工業高校

部活動として参加している高校もあります。名古屋市昭和区にある創立100年以上の名古屋工業高校。実践的な技術者を育てる授業の一方で部活動にも力を入れています。ロボット部は、この大会で6回の優勝実績を誇り、前回の大会では準優勝でした。当時2年生でサポーターとして参加した風岡恭勇さんは今回、部長として優勝を目指します。

名古屋工業高校では必ず2年生を大会メンバーに指名。技術や思いをつなぎ、育成もします。今回は2年生で副部長の村本由羽さんを操縦者、2年生の岡本丈さんをサポーターとしてチーム編成し、大会に挑みます。名古屋工業高校の特徴は空気圧を使ったロボット。動力に空気圧を使うことで、モーターでは出せない瞬発力を使った素早い動きが可能になります。

予選1回目終了後、トラブルの原因を探る

ロボット部OBが応援に駆けつける中、予選1回目がスタート。しかし開始早々、1台のロボットが動かなくなるトラブルに! 最後まで動かないまま1回目が終了してしまいます。

予選2回目までの短い時間で配線から全てを調べて、コンテナを動かす配線の1つが切れていることを発見。修理して予選2回目に挑みます。トラブルを挽回しようと焦りが見える中、ミスが続き思うようにコンテナが積めず17位に。その様子を見ていたOBたちは、「コミュニケーション不足によるチームワークの弱さが次の課題」と次回へのアドバイスで元気づけました。

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