輪島で危険度判定開始 大雨警報、土砂災害警戒を

被災建物の傾き具合などを調べる長野県上田市職員=10日午前11時、輪島市河井町

  ●死者203人、安否不明68人に減

 能登半島地震で10日、輪島市は建物の倒壊の危険性を調べる応急危険度判定を開始した。午前9時時点で県内の死者は前日から1人増え、203人となった。うち珠洲市の6人と能登町の1人の計7人について、県は災害関連死とみられると発表した。連絡の取れない安否不明者は前日から34人減り、68人。被災地では前日から雨が降り続き、珠洲、輪島、七尾、中能登の各市町に大雨警報が出された。県は土砂災害への警戒を呼びかけた。

 災害関連死は地震による直接の死亡ではなく、震災後、けがの悪化や心身の負担による疾病で亡くなった犠牲者。珠洲市は「災害関連死の認定は暫定的なもの」としている。死者数は自治体別に珠洲市91人、輪島市81人、穴水町20人、七尾市5人、志賀町2人、能登町3人、羽咋市1人。

 安否不明者の内訳は珠洲市20人、七尾市、能登町各2人、金沢市1人。輪島市が9日午後の86人から43人となった。市は安否を確認したという連絡が相当数寄せられているためとした。

 県内の避難所には2万6千人以上が身を寄せ、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症が拡大。道路の寸断で約3100人が依然孤立している。

 地震直後の火災で全域が焼失した輪島市の輪島朝市では、9日に始まった県警による大規模捜索が13日ごろまで毎日行われる。10日は警察官が手作業でがれきを撤去するなどして捜索に当たった。

 10日の石川県内は寒気を伴った気圧の谷の影響で雨や雪となった。11時40分現在の24時間降水量は七尾29.5ミリ、輪島21.5ミリ。金沢地方気象台によると10日の1時間降水量は多い所で15ミリを予想する。地震の影響で珠洲と門前、舳倉島の観測地点で一時的に降水量を観測できない状態となっている。レーダーによる観測はできている。

  ●上田市職員が応援 危険度判定

 輪島市の応急危険度判定は午前中、長野県上田市職員らが4班に分かれて被災建物を外から目視で点検、状況に応じて3種類の張り紙を掲示した。

 応急危険度判定は二次災害を防ぐため、倒壊の危険性を調べて、赤色の「危険」、黄色の「要注意」、危険性がない緑色の「調査済」の3段階の紙を貼る。10日は午前中に輪島市河井町で実施。午後からは同町と鳳至町を10班態勢で回る。

 ★災害関連死 地震による建物倒壊、津波や洪水などの災害で亡くなる「直接死」とは別に、避難生活や環境の変化などから体調が悪化して亡くなり、災害が原因と認められること。遺族の申請を受け、弁護士や医師らで構成する自治体設置の審査委員会が死亡と災害に因果関係があるかどうかを審査する。因果関係があり、災害関連死として認定されれば、災害弔慰金が支給される。認められなければ不服申し立てができる。

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