「残念としか言いようがない」八代亜紀さん死去 ジャズに絵画と多彩な才能…突然の別れにゆかりの人も涙

2023年12月30日に亡くなっていたことが明らかになった歌手の八代亜紀さん。静岡県とも深い縁があり、関係者にも悲しみが広がっています。

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2017年の夏、静岡市の駿府城公園で行われた「フェスタしずおか」の舞台には代名詞のハスキーボイスを披露する八代亜紀さんの姿がありました。

熊本県八代市出身の八代さんは1971年に歌手デビューし、1980年には「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞。2023年9月、膠原病の治療に専念するため、活動を休止していましたが、12月30日、急速進行性間質性肺炎のため亡くなりました。73歳でした。

多彩な才能の持ち主だった八代さん。2018年には、浜松市のジャズイベント「ハママツ・ジャズ・ウィーク『ヤマハジャズフェスティバル』」に登場し、「雨の慕情」などの代表曲をジャズにアレンジして披露しました。このイベントのプロデューサーを務めたヤマハの佐藤伸行さんは、当時を振り返ります。

<ヤマハ 佐藤伸行さん>
「いつも『ありがとう、ありがとう』って声をかけていただいて、本当にいろんな方に感謝の気持ちを持って、思いやりを持って接していくれた。なんかそんな八代さんの美しい人柄に、非常に感銘を受けた記憶があります」

静岡県とのゆかりは、焼津市にもありました。1991年、八代さんは市内に和菓子店「八代茶屋」をオープン。開店当日は行列ができる賑わいでした。焼津市観光協会には八代さんが描いた油絵が飾られています。タイトルは「焼津からの富士」。焼津への親しみがうかがえます。

画家としても活躍した八代さん。画家の登竜門といわれる世界最古の美術展「ル・サロン」で入選を続けました。30年ほど前から師事したのは、静岡市葵区に住む画家・市川元晴さんです。

<画家 市川元晴さん>
「残念としか言いようがないんですよ。ついこの間も『先生、80になっても歌ってるし描いているし』という話をしていて、絵だったら90まで描けるよと話した」

2024年、パリで開かれる美術展の表彰式にも市川さんと一緒に出席する予定だったといいます。

<画家 市川元晴さん>
「正直なところ、芸能人だからすぐに飽きてしまうだろうと思っていたんですよ。とんでもなく好きでしたね。絵がとっても好きで真面目な人でしたね。来年になったら、コンサートも絵も描いてという話ばかりしていたのに、こんなことになるなんて夢にも思わなかったですね」

プライベートでも食事をする仲だったという市川さんは1月8日、身内だけで執り行われた葬儀に参列しました。

<画家 市川元晴さん>
「彼女が使っていた筆を入れてあげて。あとは手紙を少し。また向こうでも一緒に描こうと書いて入れました」

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