【タイ】日本食店数が右肩上がり、23年は5751店に[サービス]

日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所は10日、タイで営業する日本食レストランの数が2023年に5,751店舗に増えたと発表した。22年の5,325店舗から426店舗・8%増えた。ジェトロが07年にタイの日本食レストラン数の調査を開始して以降、店舗数は右肩上がりに増え続けている。23年は特に焼き肉、ラーメン、居酒屋、すき焼き・しゃぶしゃぶを提供する店の増加が目立った。

タイの日本食レストランの数を5年前と比較すると、18年の3,004店舗から91.4%増加した。地域別では首都バンコクが8.7%増の2,602店舗と最も多く、全体の45%を占めた。バンコク近郊5県が8.4%増の850店店舗、その他の地方が7.1%増の2,299店舗となった。

■増加に伴い多様化

業種別でみると◇ラーメン:21.3%増の741店舗◇すき焼き・しゃぶしゃぶ:17.4%増の453店舗◇居酒屋:18.4%増の437店舗◇焼き肉:22.3%増の417店——の4業種の増加が目立った。

一方、最も多いすし店は減少数が増加数を上回り、4.1%減の1,372店舗となった。すし店に次いで多い日本食店は6.4%増の1,354店舗。

ジェトロバンコク事務所の黒田淳一郎所長は「すし・日本食に次ぐ第2集団の増加が顕著で、(店舗数の増加に伴い)日本食が多様化している」と指摘した。すし店の数を地域別でみると、バンコクでは20店舗増え489店舗となったものの、近郊5県とその他の地方で計76店舗減った。黒田氏は、近年店舗数が急増したことによる「競争激化が主な原因」との見方を示した。

日本食レストランの客単価は、100バーツ(約413円)以下が691店舗(全体の12.0%)、101~250バーツが2,040店舗(35.5%)、251~500バーツが1,333店舗(23.2%)、501~1,000バーツが690店舗(12.0%)などとなった。業種別でみると、焼き肉、居酒屋、すき焼き・しゃぶしゃぶで客単価が251バーツを上回る店が多い傾向が見られた。

店舗数の調査は23年8月から10月にかけて行われた。客席のないデリバリー専門店は含まれていない。

タイの首都バンコクにあるカフェ風のとんかつ・トンテキ専門店。店舗増加に伴い日本食店は多様化が進んでいる=10日(NNA撮影)

■国・地域別では6位

日本食レストランの数を国・地域別(23年10月時点)でみると、タイは中国(7万8,760店舗)や米国(2万6,040店舗)、韓国(1万8,210店舗)などに続く6位となっている。人口比で見た場合は米国と同等で4位。

他国・地域の人口比の店舗数を踏まえ黒田氏は、タイの日本食レストランは「もう少し増える余地がある」と期待感を示した。

ジェトロバンコク農林水産・食品部の谷口裕基ディレクターによると、同事務所は日本の複数の飲食チェーンから、タイ進出に関する相談を受けている。業種としてはカレー、ラーメン、天ぷらなどのチェーンだという。

■地方で食品売り込み強化

タイの地方都市でも日本食レストラン数が増え続けていることから、ジェトロは地方都市に向けた日本の農林水産物、食品の売り込みを強化している。

本年度(23年4月~24年3月)にはジェトロバンコク事務所として初めて、バンコク以外の地方で売り込みイベントを開催。北部チェンマイや北東部コンケンで現地のバイヤーを対象とした商談会を実施し、ホタテやウニなどの水産物、牛肉などを売り込んだ。

農林水産・食品部によると、特にチェンマイの商談会が盛況。日本食レストランのさらなる増加や日本食材の利用拡大に期待が持てる結果だったという。

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