〈1.1大震災〉高岡で銅像盗難続発 6体被害1000万円超

盗難被害にあった馬の銅像

  ●地震後も「傷口に塩」

 高岡市内で11月から、銅像が盗まれる被害が連続発生していることが10日、関係者への取材で分かった。被害は能登半島地震発生後の1月も続いており、盗まれたのは少なくとも6体、被害額は1千万円超に上る。被災した業者が復旧に注力している隙を狙った犯行に、関係者は「被災した弱みにつけ込んだ行為で絶対に許せない」と憤りを隠さない。高岡署は建造物侵入と窃盗の疑いで捜査している。

 高岡銅器協同組合(同市)の調査では、被害に遭ったのは少なくとも4店舗で、店舗前に置いてあった馬の銅像や観音像、こま犬などが盗まれた。被害額は約1090万円とみられる。いずれも深夜に何者かが複数人で店舗前にあった銅像を持ち出し、車に運び込む手口だった。鋼鉄製のチェーンで固定していたものもあったが、切断されて持ち去られていたという。

 被害を確認するたびに加盟社に警告のファクスを送信して注意を呼び掛け、組合員も警戒していたというが、1月1日の地震後は各店舗で商品が落下したり、ショーケースが割れたりする被害が発生し、「片付けが最優先で、他のことに気が回る状況ではなかった」(組合関係者)という。1月に入ってからは2店舗で2体の被害が確認された。

 組合の宮津健志理事長(54)は「再開に向けて頑張ってきた中での盗難は心が痛い」と被害店舗を気遣った。窃盗の目的として銅価格上昇を受けた転売の可能性を指摘し、「被災した事業者の傷口に塩を塗る行為だ」と怒りをにじませた。

 組合では、店舗近くの住民に不審者を見つけた場合は110番通報するよう協力を呼び掛けている。

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