JR北陸線の武生駅、鯖江駅からコンビニ撤退 福井県、第三セクターへ移管迫る中…肩落とす住民ら

閉店したコンビニ「セブン―イレブン」=1月9日、福井県越前市のJR武生駅

 福井県越前市のJR武生駅、同県鯖江市のJR鯖江駅構内のコンビニ「セブン-イレブン」が1月8日、閉店した。北陸新幹線延伸に伴うJR北陸線の県内区間の第三セクター移管を3月に控える中、身近な存在だった地域の玄関口のコンビニが姿を消し、住民や駅利用者から惜しむ声が上がっている。

 コンビニを運営してきたJR西日本のグループ企業ジェイアールサービスネット金沢(石川県金沢市)は、両店舗の撤退理由について「利用状況や周辺の環境などを総合的に判断した」と説明。店舗の撤去を完了次第、空いたスペースに飲料や食品の自動販売機を設置する方向で調整している。

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 両駅とも近くにコンビニはなく、駅利用者や近隣事業所の従業員らが多く利用していた。武生駅では9日、機材などの撤去作業が行われ、帰省中の大学生の娘を見送りに来た越前市の男性は「乗車前に軽食や飲み物を買うのに便利だったので残念」と肩を落とした。

 鯖江駅前でコンサート客らの道案内などを行うボランティア団体「鯖江おせっ会もてなし隊」の上嶋睦美代表は「寂しい。店員さんは私たちの活動を理解して本当に良くしてくれた」と惜しんだ。「駅利用者にとってはちょっとした買い物ができず不便になる。商店街の店を案内したり、傘を貸し出したりする活動もしていきたい」と話した。

 営業継続を要望してきた鯖江市幹部は「残念だが、三セクに移管されるので仕方ない」とし、跡地利用については「厳しい状況ではあるが、店舗誘致を含め、駅利用者や周辺住民らの利便性向上策について検討している」と説明する。

 北陸線の経営を引き継ぐ第三セクター「ハピラインふくい」は、3月16日の開業後も両駅の自販機設置を継続する方針。並行して、テナント募集も選択肢としたスペース活用を両市とも協議しながら検討していくとしている。

 ジェイアールサービスネット金沢は、県内でほかに福井、敦賀駅でセブン-イレブン、芦原温泉駅で土産物店を運営している。今後については、併設する新幹線駅への移転も含め「関係先と協議中」としている。

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