「ひと手間掛けてくる」森保一監督が引退表明の遠藤保仁に言及、広島時代は優勝争いのライバル、日本サッカーの発展への貢献に感謝し今後にエール「指導者としても頑張ってほしい」

Jリーグと日本代表の歴代最多出場記録を持つ遠藤保仁[写真:Getty Images]

日本代表の森保一監督が、現役引退を発表した元日本代表MF遠藤保仁について語った。

9日、ジュビロ磐田に所属する遠藤が現役引退を発表。突然の発表は世間を驚かせることとなった。なお、古巣ガンバ大阪のトップチームコーチに就任する。

横浜フリューゲルス、京都サンガF.C.、G大阪、磐田でプレーした遠藤。J1通算672試合103得点を記録しており、出場試合数は歴代最多を誇っている。

また、日本代表としても2006年、2010年、2014年と3度のワールドカップ(W杯)に出場し、南アフリカW杯のデンマーク代表戦では直接FKを叩き込むなど世界を沸かせ、通算152試合で15得点を記録。こちらも日本代表歴代最多の出場数となっている。

Jリーグだけでのプレーながら、世界と渡り歩いた遠藤。Jリーグ、リーグカップ、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグと全てのタイトルをG大阪時代に獲得するなど、名実共にレジェンドと言える。

その遠藤の引退に際し、アジアカップに臨むためカタールにいる森保監督がメディアの取材で言及。偉大な選手の引退を受け、日本サッカーの発展に多大なる協力をしてくれたと感謝した。

「日本のサッカー界に多大な貢献を本当にしてくれたと思いますし、日本のサッカーの発展に選手として素晴らしい貢献をしてくれた遠藤元選手だと思います」

「代表でも歴代1位の試合数で代表も支えてくれて、日本が世界で戦えるということ、今につなげてくれた素晴らしい戦いを見せてくれたと思います」

「国内のサッカー、Jリーグであったり育成の選手たちに技術力の高さと、ポジショニングというところ、先を読む力など、選手として身体能力で勝負するタイプではなかったと思いますが、クレバーにサッカーの楽しさを教えてくれて、技術、予測力が必要だということは、色々な選手や指導者に影響を与えてくれ、見ているサポーターや観客の皆さんにサッカーの魅力を伝えてくれたと思います」

「飄々とやっていますが、コツコツとずっとやり続けるということ、試合中もずっと動き続けて、今も走行距離は長いと思いますし、見た目の巧さがフォーカスされるかもしれないですが、動き続ける、タフに戦い続けるということをやった上での技術力を見せてくれたと思います」

「これからも遠藤選手のような選手がたくさん生まれてくれると嬉しいですし、指導者としてもまた頑張ってほしいですし、これまでお疲れ様でした。そして、ありがとうございました」

現役最後のクラブは磐田であり、カタールW杯まで森保監督の右腕として活躍した横内昭展監督の下でプレーしていた。

森保監督は横内監督から遠藤について聞いていたとし、「最後ジュビロで横内監督の下でプレーして、色々な話を横内さんから聞きましたが、練習から手を抜かず、頑張っているということを聞きました」とコメント。「今年ジュビロがJ1を戦えるというのは、日本を引っ張ってきた選手が率先してチームのために自分ができることを見せてくれたことが繋がっているのかなと思います」と、2023シーズンの明治安田生命J2リーグで2位となったチームを支えていたと振り返った。

また、サンフレッチェ広島の監督時代には、G大阪とリーグ優勝争いを経験。2015年は2ステージ制となっており、年間順位の1位から3位がチャンピオンシップで優勝を争っていた。

広島が最終的に優勝したが、決勝の相手であるG大阪では遠藤がプレー。対戦したことを振り返り、難しい相手だったと振り返った。

「シンプルに攻めてくれば対応しやすいのに、ひと手間掛けてくるんですよね。相手のメンタルの状態を凄く読んできて、勢いを削がれて逆を突かれて、コロコロPKとか」

「2015年のチャンピオンシップで、最終的に我々が優勝させてもらいましたが、みんなが緊張感の中で勢いでプレーしているところ、彼だけが上手く流れを読みながらプレーするということは印象に残っています。緊張することは経験を積んでなのかは分からないですが、自信を持ってプレーすることが大切だと示してくれたと思います」

レジェンドでありながらも、オフシーズンということで引退会見も行わないことを決めたという遠藤。最後までらしさを貫いている中、今度は指導者としてどのような選手を輩出するのか、楽しみだ。

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