【早出し】能登半島地震・被災者に寄り添いケア 本県DPAT、被害甚大な珠洲市へ

公立能登総合病院に到着した本県の災害派遣精神医療チーム(手前左側)=10日午前9時3分、石川県七尾市

 山形新聞の能登半島地震取材班は10日、被災地・石川県に到着した山形県の災害派遣精神医療チーム(DPAT)を追った。被災地に入ったのは、鶴岡市にある県立こころの医療センターの白石啓明医師ら5人。DPATが現地拠点を置く公立能登総合病院(石川県七尾市)で三重県のチームから引き継ぎを受け、被害が甚大な珠洲市に向かった。

 DPATは、全般的な医療支援を行う災害医療派遣チーム(DMAT)と同じく、被災地に派遣され、心理的に影響を受けることが懸念される非常事態の下、精神科医療や精神保健活動の支援をする専門チームだ。被災して大けがをしたり、長時間救助を待ったりするなど災害では耐えがたい恐怖を感じ、大きなショックを抱えることがある。家族や大切な人、家などを失った悲しみに加え、大きな揺れにおびえ、長期間の避難生活で精神的なストレスは大きくなるという。

 震災で医療体制が十分に機能しない中、DPATは、より専門的な支援が必要な認知症のお年寄りや精神障害を抱えた人などを支える。さらに、ショックを受けた被災者のケアという重要な役割を担う。

 本県チームが入る珠洲市は、発生から10日がたってもなお、支援が行き届いているとは言えない状況だ。同市など奥能登に向かうルートは限られる。路面状況が悪く、長い渋滞が発生している。支援に向かい1日ではたどり着けないチームもある。過酷な現場だ。「避難生活が長期化する状況で、被害が大きくストレスを抱えている人は多いはずだ」と白石医師。「現場で医療や復旧などに当たっている地元の人たちも被災者だ。こうした人たちのケアにも取り組みたい」と話し、車に乗り込んだ。

© 株式会社山形新聞社