老舗菓子舗の菓秀苑森長(長崎県諫早市)はタイでカステラ生産を始めた。現地メーカーのプンノイベーカリーが森長からレシピ提供を受け、OEM(相手先ブランドによる生産)と販売を担う。
森長は1793年創業、おこしなど和洋菓子を製造販売している。2015年からカステラの海外輸出を開始。19年には常温で240日の賞味期限を持つ商品を発売し、世界17カ国・地域に広げた。ただ輸送費などがかさむ分、高価格となり富裕層向けにとどまっていた。
プンノイは第2の都市チェンマイに本社を置き、タイ国内に46店舗を展開している。19年にチェンマイであったマッチングイベントを機に、森長の海外事業を担う「わかたむ」(諫早市)と提携を模索してきた。タイの職人を諫早工場で研修させ高品質を担保。上白糖以外の原材料を現地で調達することで手頃な価格に抑えた。
「Morichoカステラ」の名称で1枚スライス40グラム40バーツ(約160円)。昨年12月、プンノイ直営店でのプレ販売は1日で180枚を完売した。今後はECサイトでも扱うほか、大手流通企業への販路拡大を視野に入れる。
わかたむの若杉和哉代表取締役社長はタイ語で交渉しカステラの普及を図る。「一口分に甘みが詰まっていると驚かれた。受け入れてもらえるだろう。日本とタイの交流促進にもつながれば」と話している。