息子の不登校体験を描く 佐世保の漫画家・大原由軌子さん 「境遇同じ人の役に立てたら」

中学生の次男=当時=が不登校になった実話を漫画にして出版した大原さん。=佐世保市

 長崎県佐世保市の漫画家、大原由軌子さん(53)が、中学生の次男=当時=が不登校になった実話を描いた漫画「大原さんちの不登校」を出版した。原因には、担任教師による体罰や過度な課題などがあったという。大原さんは「たどった道が(同じ境遇の人の)役に立てたら」と話す。
 同市出身。小学5年の長男=当時=がいじめ加害者になった実話を描いた漫画を2020年に出版、話題を呼んだ。
 本作はメールマガジンで19年に配信していた漫画を書籍化した。中学1年の次男は、夏休み直前から食欲不振などが続いた。オンラインゲームにのめり込み、両親のクレジットカードの無断使用が発覚。次男は“中毒”に陥っていると告白する。
 一方、学校による過度な課題に追い込まれ、ノイローゼ気味に。同級生とのトラブルなども続いた。
 2年生の9月、不登校になった。原因の一つに、担任教師の体罰があった。胸ぐらを締め上げられ壁に押しつけられたり、腕にケロイドが残るけがを負わされたりした。「○○先生に会いたくないけん、学校には行かん」(次男)。その後、適応指導教室に通学。3年生の4月から復帰した。
 次男や家族の心情や、学校とのやりとりなども克明に描いた。医療機関受診など対応策を探し回った過程もつづった。大原さんは「不登校は悪いことでも、恥ずかしいことでもない。外部の力を借りて解決できたので(同じ境遇の人が)助けを求められるようになれば」と話した。
 A5判、128ページ。文芸春秋刊、990円。ネット通販「アマゾン」などで販売中。

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