北陸の製薬各社、生産再開急ぐ 被災地域に工場集積

製薬各社の地震被害状況

 「越中富山の薬売り」で知られる富山県をはじめ、能登半島地震で被災した北陸地方には製薬各社の生産拠点が集まっている。地震で建屋や設備が被害を受け、再開時期が定まらない工場もある。相次ぐ不祥事で供給不足が慢性化する後発薬の工場も多く、各社は出荷への影響を抑えるため復旧を急いでいる。

 最も深刻な被害が出た石川県では、点眼薬首位の参天製薬が宝達志水町に能登工場を置く。1年間で生産する約4億本のうち約3億本を製造する主力拠点だが、建屋や設備が被災し現在も操業を再開できていない。担当者は「数カ月分の在庫を確保しており、当面の供給に問題はない。復旧に向けた被害状況の精査を急ぎたい」と話した。

 アステラス製薬は、免疫抑制剤や抗真菌剤を生産する富山県内2拠点で操業を停止。生産再開の時期は未定で、在庫状況などを踏まえて復旧作業を進める。後発薬大手の日医工は富山市の本社建屋の外壁がはがれ落ちたり、天井ボードの一部が落下したりした。県内の工場や物流拠点は9日に稼働し、生産や出荷への影響はないという。

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