【マレーシア】高齢者介護市場、日本企業との協業模索[医薬]

日本貿易振興機構(ジェトロ)クアラルンプール事務所は11日、高齢化・高所得化に伴い注目が集まるマレーシアの高齢者介護市場に関するセミナーを開催した。

セミナーでは、高齢者介護水準の向上に向けて取り組むマレーシア高齢者施設運営者協会(エイジコープ)のダーレン・テラス・ダグラス会長、介護用品の販売や介護施設の運営を手がける地場アジアン・インテグレーテッド・メディカルのオリビア・クア氏が登壇し、マレーシアの高齢者介護市場の概要や今後の有望分野を解説。日本企業との提携可能性を探った。

マレーシアは国民の平均年齢が若く人口ボーナス期にあるが、同時に少子高齢化も進展している。特に、少子化や女性の社会進出に伴い、家族による高齢者の介護が難しくなっており、介護施設の増設や介護士の育成、車椅子など介護用品の充実、介護ロボットなどハイテク技術の活用などが求められているという。

エイジコープのダグラス氏によると、マレーシアの介護施設には公的なものから宗教団体によるもの、民間運営などさまざまなタイプがある。中でも、イスラム教徒(ムスリム)の運営する介護施設が少ないという問題が顕在化しつつあり、政府からも協会に対し、ムスリム向け施設の拡充に向けた働きかけがあったという。

アジアン・インテグレーテッド・メディカルのクア氏も、現地のトレンドは自宅介護から施設に移りつつあると説明。一方で、住み慣れた自宅で生活したいという高齢者のニーズは今なお根強いものの、住宅構造の問題から滑りにくい床材への入れ替えといった大幅なリフォームが必要になるケースもあるとして、そうした分野の潜在性も指摘した。

また、健康かつ富裕な「アクティブシニア」の間では、子どもに頼らない自立した生活を送るため、老後を快適に暮らすための生活に必要な施設がそろった、リタイアメントビレッジへの入所を望む声もあるという。

© 株式会社NNA