〈1.1大震災〉「珪藻土七輪」にも打撃 三度の被災、職人「先見えず」

震度6強の地震で被害を受けた丸和工業の窯=珠洲市正院町

  ●珠洲・正院町

 能登半島地震は珠洲市特産である「珪藻土(けいそうど)七輪」の生産現場にも打撃を与えた。2022年の震度6弱で七輪を焼く窯が崩壊、昨年5月の震度6強の揺れで屋根の一部が崩れ落ちた丸和工業(正院町)では、今回の地震で建物がさらに損傷し、窯が崩れているのが確認された。三度の被災に職人は「再開できるか分からず、先が見通せない」と途方に暮れている。

 丸和工業は昨年2月、市内外から寄せられた善意やクラウドファンディングを活用して窯を再建し、七輪の生産を再開した。ところが、昨年5月の地震で窯の一部が再び壊れ、この建物での生産が困難となり、窯の復旧を目指しているところだった。

 今回の地震では、建物がさらなる被害を受け、裏手にある煙突が倒れた。ブルーシートで覆われていた窯は壊れ、金沢市に一時避難した玉置仁一社長(72)は「窯を直せるかどうかも含め、今後のめどは全くついていない」とため息をついた。

  ●上戸町寺社も損壊

 同じく珪藻土七輪を製造する能登燃焼器工業(上戸町寺社)でも、作業場などが被害を受けた。昨年5月の揺れでは、少なくとも50個以上の七輪が壊れ、二つある窯のうち一つは薪を入れる窯の口が崩落。壁面に大きなひびが入り、もう一つの窯は煙突が破損した。

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