【新刊紹介】『デジタル生存競争―誰が生き残るのか』ダグラス・ラシュコフ 著 堺屋七左衛門 訳

『デジタル生存競争―誰が生き残るのか』ダグラス・ラシュコフ 著 堺屋七左衛門 訳/ボイジャー/四六判324頁/2023年6月/定価2200円・電子版990円(税込)

テクノロジーで財をなした5人の億万長者に、気候危機や核戦争など世界の終末的状況から自分たちだけが脱出する方法の指南を求められる印象的なエピソードから本は始まる。デジタル技術による経済的な「勝者」に特徴的な、他の人類を置き去りにして破滅的状況から離脱できると考える独善的で逃避的な思考パターンを、著者は「マインドセット」と呼ぶ。

日常生活の隅々から社会のあり方までを規定しつつあるテクノロジーのアルゴリズムは、アマゾンやウーバーの例をみるように、労働のあり方をも大きく変えようとしている。そのシステムを遡った根源には何があるのか。

デジタル化が私たちから吸い上げようとしているものの本質とそれに抗う方法を、テクノロジーへの透徹した分析から明らかにする。テック時代に必読の書。

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