段差多い「京町家」の暮らしに合ったリハビリ施設を 階段や飛び石設け筋力増強 病院がCF

新しいリハビリ施設を計画する西陣病院の屋上(京都市上京区五辻通六軒町西入)

 京都市上京区にある西陣病院が、リハビリ施設を屋上に増設する。西陣地域には趣のある京町家が多く残る一方、家の中に段差が多いのも特徴で、患者が退院後も活動的に過ごせるようにリハビリ環境を充実させる狙いがある。ただ経営は厳しいといい、広く資金を募る「クラウドファンディング」(CF)を始めた。

 同病院は「地域の病院」を掲げる中、この12年間で入院患者は約2倍の年間3万3千人に増加し、リハビリ職員も7人から20人に増やした。地下1階に2部屋ある訓練室では手狭になり、病室や院内の階段、近隣の公道などでも訓練を行っている。

 西陣地域は高齢化が進み、今後も患者の増加が見込まれる。また一帯には西陣織の作業場と一体化した昔ながらの町家などが多く、通り庭の段差や急な階段、細い路地や石畳など高齢者の暮らしやすさに課題もあるため、さらなるリハビリ環境の充実が必要と判断した。

 計画では、西館屋上に踏み段の高さが異なる階段や角度の違う坂道など状態に応じた訓練ができる設備を設置する。西陣に多い環境に合わせて砂利道や飛び石も設ける。自転車などが往来する公道より安全性が高まると期待する。

 工事費は約千万円。物価高騰などで病院経営へのダメージは大きいといい、うち700万円を2月9日までCFサイト「レディーフォー」で募る。病院窓口でも受け付ける。

 同病院の理学療法士たちは、足腰が弱ると移動が不安になり、さらに筋力低下につながるため、退院までのリハビリが重要になると指摘。「安心して練習してもらい、家に帰っても活動的に暮らしてほしい」「外の空気や四季を楽しめるのでストレスの軽減にもつながるのではないか」と期待し、協力を呼びかけている。西陣病院075(461)8800。

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