朝日町の棚田と県産酒、高評価 OECD調査中間報告

朝日町の棚田保全の取り組みなどを高く評価した経済協力開発機構のドロテ・アラン・デュプレ課長(中央)=山形市・文翔館

 日本や欧米などが加盟する経済協力開発機構(OECD、本部パリ)が昨年1月に本県農村部で行った持続的発展を目指す取り組みの調査で、朝日町の棚田保全活動や県産酒振興の取り組みなどが高く評価された。OECDは11日、山形市内で中間報告を行い、住民が地域資源を生かして所得や雇用の確保を目指す活動を自治体職員らが支える仕組みに触れ「人口減の各国の地域づくりで有用だ」と評した。

 同市の文翔館で開かれた県のセミナーで、OECDの野々村圭造分析官が報告した。農林水産省の「棚田遺産」に選定されている「椹平(くぬぎだいら)の棚田」の保全活動と、酒造組合や県などが連携する「県研醸(けんじょう)会」の取り組みを好事例として取り上げた。

 棚田は、農家や外部ボランティアなどが連携して伝統的なコメの天日干しを復活させるなど付加価値を生み出し、県外百貨店に販路を拡大している。県研醸会は酒造好適米の研究などに力を入れ、県産酒の地理的表示(GI)登録、輸出増につながっている。

 活動を支えた人物にもスポットを当てた。棚田は県農村づくりプロデューサーの高橋信博さん、県産酒は指導的役割を担った県酒造組合の小関敏彦特別顧問。「関係者間の合意形成を支援し、地域の主体性を引き出した」とし、ノウハウや知見を共有して人材育成につなげる重要性を説いた。

 セミナーはオンラインを含め約500人が聴講し、野々村分析官やOECDのドロテ・アラン・デュプレ課長、高橋さんらの意見交換もあった。終了後に取材に応じたデュプレ課長は、OECD加盟国の農村は本県と同様に人口減の課題を抱えているとし「山形の取り組みは各国の参考になる」と述べた。

 調査は6カ国で行われている。本県の結果はリポートとして今年中に世界に発信される見通し。

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