「コメディーから悪党まで演じたい」 那覇市出身の俳優・嘉島陸さん 「いつかは沖縄に関わる作品に」

 那覇市出身で東京を拠点にドラマや映画に活躍の場を広げている俳優の嘉島陸。キャリアを積み重ねながら、今年は勝負の年と意気込む。「周りからは『真面目』とよく言われる。だからこそ、コメディーからとんでもない悪党まで自分にない役をやってみたい」。俳優としての幅を広げようと日々奮闘している。(学芸部・屋良朝輝)

 父親の転勤で本土にいた小学生時代。子役として数多くの作品に出演したが「実は子役の頃の芝居をしていた記憶はあまりない。当時は、芝居よりも電車が好きで、いろんな現場に電車で移動できるのが楽しかった」と笑いながら振り返る。

 大河ドラマや民放ドラマへのレギュラー出演など、着実に子役としてのキャリアを重ねていたが、中学進学と同時に沖縄へ帰郷。役者としてのキャリアもいったん終了し、中学、高校、大学と県内で過ごした。「普通の生活をさせたいという両親の思いがあった」と話す。

 さまざまな人生を演じる芝居の世界。「僕たちは日常の中に暮らす人を演じることがほとんどなので、普通の人の感覚というか、学生時代の経験が生きている。普通の生活をさせてくれた両親に感謝している」

 昨年出演したドラマでは、子役時代に共演したムロツヨシとの再共演を果たした。「子どもの頃のことなのに、共演したことを覚えていてくださった。芝居に向き合う姿勢や、スタッフの皆さんへの心配りなど学ぶことが多くあった」

 同じドラマでは、県出身俳優の佐久本宝とも共演した。共に1998年生まれ。「同じ県出身で活躍している佐久本さんと共演できたことは刺激になった」

 上京して3年目。休日もドラマや映画を鑑賞し、ボイストレーニングや殺陣、アクションや日本舞踊のレッスンを受けるなど、俳優として向上するために費やしている。

 「俳優としてうまくなりたい。会社や親へ恩返ししたい」という思いが原動力となっている。

 「芝居は周りの俳優や監督との刺激で出てくるものだと思うので、どんな自分が出てくるんだろうという楽しみがある。自分の知らない一面を知ることができるのは、この仕事の醍醐味(だいごみ)。見ている人に楽しんでもらえる作品づくりに関わり、いつかは沖縄に関わる作品にも出演したい」

「自分とは違う役柄を演じたい」と話す嘉島陸=東京・渋谷(屋良朝輝撮影)

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