福井県沖でかつてない寒ブリ大漁…なぜ? 漁師も驚き、水揚げ量は今シーズン既に昨季の5倍超え

次々と水揚げされる寒ブリ=2023年12月26日、福井県美浜町日向

 福井県美浜町の日向漁港で今季、寒ブリがかつてない大漁続きとなっている。日向定置網漁業組合によると、1月10日までの水揚げ量は約3万5千匹。既に昨季の5倍超えで、1978年の組合発足以降で最も多くなった。福井県海洋資源研究センター(敦賀市)は、日本近海でのブリの資源量が多い状態にあることと、福井県沖でブリが例年より沿岸寄りを通っていることが要因とみている。

 「9!」「10!」。昨年12月26日、ブリの重さを伝える漁師の力強い掛け声が漁港に響いた。次々と計量して重さごとにコンテナに分け、この日の水揚げ量は2600匹だった。

 同組合は同10月下旬に冬場の定置網漁を開始。12月15日には3200匹を水揚げし、25日は5千匹、28日は8700匹となった。年明け以降も10日までで2千匹を超えたのが3日あった。高橋武一組合長(75)によると、これまで1日で2千匹を超えるのは1シーズンで1、2回だったといい、「これだけ取れる日が続くのは記憶にない。1シーズンで水揚げが2万匹を超えたことも初めて」と驚きを隠さない。

 国立研究開発法人「水産研究・教育機構」が取りまとめたデータによると、日本近海でのブリの資源量は2008年の約22万トンから年々増加。17年には約37万トンとなり、以降も多い状態が続いている。

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 県海洋資源研究センターによると、主要な産卵場である東シナ海の水温が、産卵やふ化、稚魚の餌となるプランクトンの発生にとって最適となったことなどが増加につながったと考えられるという。また、ブリは一度北上して冬に福井県沖を南下するが、今季は温度が低い水域を避けて例年より沿岸寄りを通っているという。

 同組合の定置網漁は1月下旬まで続く。高橋組合長は「最後まで大漁が続くよう祈りたい。日向のブリが全国に広まっていけば」と期待を込めた。

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