沖縄で桜前線が南下する訳は 開花と最低気温の密な関係

 

 沖縄の桜はカンヒザクラ(寒緋桜)、またはヒカンザクラ(緋寒桜)といって1月に花が咲きます。日本では沖縄や奄美地方で見られ、南国らしく鮮やかな濃いピンク色で、下向きに咲くのが特徴です。暖かい沖縄で桜が咲くためには、ある程度の寒さを経験する必要があります。花が咲くタイミングはいつなのでしょうか。

八重岳のカンヒザクラ。色鮮やかな濃いピンクが映える=2023年1月20日、沖縄県本部町

桜の開花・満開とは

 気象台が観測をしている標本木に5~6輪の花が咲いた状態が開花、木に約80%以上が咲いた状態が満開となります。
〈桜の平年値〉
那覇   (開花)1月16日 (満開)2月4日
宮古島 (開花)1月17日 (満開)2月9日
※2024年は1月5日に開花
石垣島 (開花)1月18日 (満開)2月10日
大東島 (開花)1月20日 (満開)2月5日

桜の平年値・開花日と満開日(筆者作成)

桜の開花ライン 目安は13℃

 過去10年の那覇で桜の開花直前の気温を見ていきますと、最低気温が13℃を下回ると6回は4日以内に開花していました。13℃くらいまで気温が下がることが桜開花の一つの目安になると考えています。(那覇の1月の最低気温の平年値は14.9℃)

 実際に、過去の那覇の開花日で、早い方の日付と直近の最低気温を見ていきますと、開花日の直近の最低気温は13℃を下回っていました。(観測期間1974年~)

桜の開花の早い順位と直近の最低気温(筆者作成)

必要な条件は「休眠打破」

桜前線南下(筆者作成)

 本州では桜前線は北上する一方で、沖縄では南下をします。桜開花に必要な条件に「休眠打破」というメカニズムがあり、一度寒さを経験する必要があります。
 温暖な沖縄は、沖縄本島では気温が下がりやすい北の地域から開花をします。これが桜前線南下のからくりです。
 1月下旬には各地で桜まつりが開催され、この時期に沖縄にお越しになる方は、各地でひと足早い桜を楽しむことができます。

週末の沖縄地方は晴れる見込み

 沖縄地方は、高気圧に広く覆われて、週末も各地で概ね晴れる見込みです。天気の大きな崩れはないでしょう。比較的空気が乾燥しますので、洗濯物の乾きも良さそうです。一方で、火の取り扱いにご注意ください。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※1月12日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※1月12日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 

14日(日)は3月ごろの暖かさに

 14日(日)は、暖かい日差しの影響で気温が上がりやすく、最高気温は那覇で22℃前後、石垣島地方で24℃くらいの予想で、3月頃の気温の予想です。過ごしやすいでしょう。

天気分布予想㊤1月13日(土)朝㊦1月14日(日)朝 ※1月12日(金)午前11時現在、ウェザーマップ

週末は共通テスト サクラ咲きますように

 13日(土)、14日(日)は、大学入学共通テストが行われます。
 沖縄では“サクラサク”シーズンの到来です。桜の開花が受験生の皆さんの背中を後押ししてくれそうです。

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。

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