おわび…暴力から逃れる男性、住所が知られない「支援措置」で生活 しかし市の窓口委託業者、暴力振るう人に住所入り書類を渡す…注意の表示出ても確認せず 警察が安全確保 引っ越し代など69万円超、業者が男性に支払う

支援措置対象者の戸籍附票を誤交付=さいたま市北区

 埼玉県さいたま市北区役所は11日、住民基本台帳事務処理要領に基づく支援措置対象者の相手に、住所の履歴を記載した戸籍の附票のコピーを誤って交付したと発表した。支援措置はドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーなどの被害を受けた人の申請で、相手への住民票の写しの交付などを防止する制度。今回は暴力を受けた男性が昨年10月、別の男性を対象に申請した。

 北区区民課によると、昨年10月27日、相手の男性が同課を訪れ、戸籍の附票の写しを申請した。発行抑制のメッセージが出たものの、委託業者の窓口業務担当者は、職員に確認せずに交付した。支援措置の認識がなかったという。男性が区役所の別の課を訪れ、区側が誤交付に気付いた。

 区側は交付当日、支援措置対象の男性方を訪れ、報告して謝罪。男性は警察署を訪れてパトロールの強化などを要請し、安全確保のため転居した。委託業者が引っ越し代や今年3月までの家賃など約69万7千円を男性に支払った。

 市は再発防止策として、附票の写しを職員以外が発行できないように、2月末までに戸籍システムを改修する。委託業者への研修を徹底し、チェック体制を強化する。江幡暢弘副区長は「深くおわび申し上げます。再発防止に努め、個人情報の安全管理を徹底する」と述べた。

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