【リニア新幹線工事】「2037年までに」との知事発言に対し「行政の責任者としてはありえない」静岡市 難波市長

年頭、川勝知事がリニア問題の解決について「2037年までに」と発言したことについて、静岡市の難波市長は12日の定例会見で、「行政の責任者としては
ありえない」と受け止めを話しました。

静岡市 難波喬司市長 午前11時ごろ:
「全く理解できない。10年延ばしていいということはない。初めから行政手続きに対する判断を下すのに、10年先でもいいというのは、行政の責任者としてはありえない。」

12日新年初めて開かれた静岡市長の定例会見で、難波市長が「全く理解できないと」切り捨てたのは、
リニア新幹線の開業時期に関する、川勝知事の発言についてです。

その発言というのが…。

川勝知事の発言

川勝知事 4日:
「(リニア開業が)“2027年以降”となったので、南アルプスの自然、生態系を保全することとリニアの両立。この件についても2037年までに解決すればいいと私は受け止めている。」

4日に開かれた新春会見で、川勝知事はJR東海がリニアの開業を「2027年」から「2027年以降」に変更したことを評価した上で2027年という数字が消えたから、2037年までにリニアの問題解決をすればいいと発言しました。

また、川勝知事は、リニア工事をめぐる議論の進捗状況を登山に例え、去年10月「2合目に来ている」としていましたが、4日の会見では…。

Qリニア問題について、(去年)山に例えると1合目より進んだと言っていたが、今年1年で富士山に例えると何合目まで進めたいという思いがある?

川勝知事 4日:
「いずれも前提にしているのは2037年までには完成させようじゃないかということなので、南アルプスに関連しては、工事ヤードがそもそもできなければ、船ができていないのに寄港地の研究をしているようなもの。なので、まずそこをどうするかというところに戻らねばと思っている。何合目かという話だが、南アルプスが守られたということは、1回下山したということではないか。登らないで下山したということではないか。

一度は2合目までいったというリニア問題の進捗状況。

しかし、川勝知事は今年になり、「1回下山した」と、むしろ逆戻りをしているという認識を示しました。

12日市長会見

一方、12日の定例会見で静岡市の難波市長は…。

静岡市 難波喬司 市長:
「3つのルート。悪沢岳に登るのは生態系の問題。田代ダムには水資源の問題。燕沢・藤島は発生土の問題とこの3つのところに到達しないといけないということになる。進捗の程度としては。大体9合目まで行ったかなと思っている。」

難波市長は、リニア問題の進捗状況について、静岡市が関係する課題を登山に例えながら、南アルプスの生態系については8合目。水資源と発生土置き場については9合目まで、解決に向けて進んでいるとしました。

静岡市 難波喬司 市長:
「最後の詰めにあるなと。ただし、最後の詰め環境保全についての適切な配慮というのをきっちりやらないといけないということなので、これについて道を誤らないようにしないといけないと思っている/これがリニアの問題についての静岡市としての念頭と言いますか、現在の基本認識と思っている。」

静岡市の認識としては、詰めの段階に入っていると説明した難波市長。

川勝知事の「一度下山した」という評価とは正反対ですが─

静岡市 難波喬司 市長
「それはご本人の考えなので、私が申し上げることではないと思う。私たち(静岡市)は8合目まで行っていると思っているわけで、いろんな考えの方がいるので。川勝知事に限らず、全然違う評価をしている方がいるので、それがどっちが正しいとか正しくないとかではないと思うので。あまり議論してもほとんど生産性はないと思うので、そこについては立ち入らないということにしたい。」

あくまでも、進捗については、それぞれの考え方だと説明しました。

知事発言について

その上で、“あの発言”については・・・

Q川勝知事は新春会見で「南アルプスの問題も2037年までに解決すればいい」というスタンスを示したが、県のトップがこのスケジュール感を示したことについてどう考える?

静岡市 難波喬司 市長
「全く理解できない。結果的に10年延びるならいいが、初めから行政手続きに対する判断を下すのに10年先でもいいなんてことは行政の責任ある者としてはあり得ない。10年経ってもいいと言うのならどこの議論をしないといけないから10年なのかということをちゃんと説明しないといけない。行政は開業時期の問題と自分の手続きの問題を一緒にするのではなくて、手続きは手続きで速やかに実施をしていく。これが責任だと思う。」

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