断水、長期化の恐れ 七尾で県水復旧が難航 〈1.1大震災〉

 能登に水を供給する県水道用水(県水)は12日時点で中能登町まで復旧したものの、「終点」の七尾市内は送水管の損傷が激しく、断水解消の見通しが立っていない。能登の中央に位置する七尾の水事情は、被害がさらに甚大な奥能登への給水作業にも影響することから、県は補修を急ぐ。

 南は加賀市、北は七尾市までをカバーする県水送水管は1日、金沢以北の約120キロで通水を停止し、12日までに中能登町までの約102キロは応急復旧した。

 ただ、七尾市中心部に給水する「藤橋供給点」、同市能登島の「能登島須曽給水点」の手前で少なくとも4カ所の損傷、漏水が判明。3カ所は補修が完了したが、残る1カ所は損傷が激しく、送水管を掘り起こして補修を行っている。

 県によると、無理に通水すれば水が吹き出し、道路の陥没など2次被害が起きかねない。奥能登に近い場所の送水管はさらなる破損も予想され、復旧のめどは立てられないという。

  ●穴水は一部で通水

 県水を引いていない珠洲、輪島、能登、穴水、志賀の5市町も市町管理の送水管、水道管の損傷で断水が続き、東京や関西などから応援人員が入って点検、復旧作業を進めている。このうち、穴水町は間もなく通水し、漏水場所を探せる段階で、12日は指定避難所の穴水中で水が使えるようになった。ただ、残る4市町は断水が長期化する恐れがある。

 県水が七尾まで復旧すれば、奥能登で活動する給水車が近接地で水を補給できるようになり、作業効率が高まる。県担当者は「1日でも早く県水を完全復旧させたい」と話している。

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