七尾港200人船上避難 大型フェリー14日から 〈1.1大震災〉

防衛省が契約する民間フェリー「はくおう」=2020年1月、兵庫県相生市

 能登半島地震の避難者の滞在先として利用してもらおうと、七尾港に13日、民間の大型フェリーが入港する。災害関連死を防ぐために防衛省が2016年の熊本地震で運用を始めた取り組みで、石川県内では初の「船上避難」となる。七尾市の避難所に身を寄せる最大200人を収容、大浴場やレストランも開放されるとみられ、市は避難者に少しでもリフレッシュする時間を過ごしてもらう。

  ●防衛省チャーター

 七尾市と七尾海陸運送(同市)によると、防衛省が民間貨客船「はくおう」(全長199.5メートル、総トン数約1万7千トン)をチャーターする。

 市内では約2千人が避難所に身を寄せ、一部の断水は解消したものの、大半の地域では入浴やトイレもままならない状況が続いている。避難所単位で宿泊者を募り、14日から船上での宿泊を受け入れる。

 地震発生から10日以上が経過し、奥能登の自治体では災害関連死が確認されている。

 矢田郷地区コミュニティセンターに避難する70代女性が「段ボールで作ったベッドではよく眠れない」と話すように、市内の避難所では余震のたびに目が覚める被災者も少なくない。七尾でも車中泊などで体調を崩したり、持病を悪化させたりする被災者へのケアが求められている。

 はくおうではレストラン、大浴場などの船内設備を使うことができるとみられ、茶谷義隆市長は「市民が船上でリフレッシュする機会にもなる」と期待を込めた。

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