福井県初の将棋プロ棋士へ、あと一つ…敦賀市出身の戸川悠二郎さんが三段に昇段 4月からリーグ参戦「浮かれることなく挑む」

戸川悠二郎三段

 将棋のプロ棋士養成機関「関西奨励会」に在籍する福井県敦賀市出身の戸川悠二郎さん(19)=同志社大学1年=が三段に昇段した。県内初のプロ棋士となる四段に向けて「同じ三段でも実力差はあると思う。しっかりと勉強して、プロ棋士を目指す」と意気込んでいる。

 昨年12月に三段に昇段した。1987年に現行制度になってから、県内出身者の三段昇段は初めてという。

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 小学1年で将棋を始め、県内唯一の日本将棋連盟指導棋士、田中幸道さん(53)=小浜市=の下で腕を磨いた。関西研修会を経て、中学1年で奨励会に入会。高校時代から将棋の勉強に人工知能(AI)を取り入れている。

 昨年10月には第71期王座戦5番勝負第4局で記録係を務め、藤井聡太八冠が史上初の全8タイトル独占を果たした歴史的瞬間に立ち会った経験もある。田中さんは「詰め将棋が解けないと悔しがって泣く子だった。そこまで負けず嫌いな子はなかなかいない」と戸川さんを評した。

 三段は関東、関西の奨励会会員がリーグ戦で争う。日本将棋連盟によると、三段リーグには約40人が在籍している。半年かけて18局を指し、上位2人が四段に昇段。26歳までに四段になれないと退会となる。戸川さんは4月に始まるリーグから参加する。

 半年という長丁場の戦いに加え、在籍者の多さから「三段まで来てやっと半分」と言われる。戸川さんは「プロまであと一つだが、浮かれることなく挑みたい」と冷静に見据える。

 「自分が果たせなかったプロ棋士の夢を戸川君には成し遂げてほしいし、きっとできる」と田中さん。福井県将棋連盟の宮越和彦理事長は「福井県からプロ棋士を出したい。県内将棋界の悲願だ」と期待を寄せる。

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