富山県ホテル・旅館組合、キャンセルの損失5億円超 氷見で修理業者確保困難、春中ハンドへ影響懸念

避難者受け入れの協力を申し入れる坂井理事長(右から2人目)ら=県庁

 富山県ホテル・旅館生活衛生同業組合の坂井彦就理事長は12日、能登半島地震による予約キャンセルの損失が5億円以上になる見通しを明らかにした。幹部らが県庁で新田八朗知事を訪ね、施設の被害状況を報告した。氷見市の旅館からは修理業者の確保が難しく、多くの宿泊者が見込まれる春の全国中学生ハンドボール選手権大会(春中ハンド)への影響を心配する声が上がった。

 坂井理事長らは能登半島地震の避難者受け入れの協力を知事に申し入れるため訪問。終了後の取材に、宿泊施設の予約キャンセルによる損失について「組合全体で単純計算すると、5億~6億円くらいになっていると思う」と話した。

 知事への申し入れの場では、氷見市のうみあかりの里木昌博社長が、市内の宿泊施設では天井や壁が崩れる被害が多く発生している一方、修理業者の確保が困難になっていると説明。3月に市内で開催予定の春中ハンドについて「選手だけでなく保護者も多く来るので、開催に影響がなければいい」と語った。

 南砺市の五箇山荘を指定管理する五箇山企画の長田一政社長は、2月に同市などで行われるスキーのインターハイに関し「被害状況から言えば開催できると思っている。何とかおもてなしをしたい」と語った。同組合は、緊急的な支援のほか、状況が落ち着いた後の需要喚起策や各種申請の簡素化、資金繰りへの援助などを求めた。

2次避難先に1500人受け入れ可能

 県はホテルや旅館を2次避難先として提供する取り組みを進めており、坂井理事長は12日の申し入れで、組合に加盟する約50施設で1500人程度の受け入れが可能と説明し「体制は整っている」と述べた。新田知事は「大変ありがたい。石川県からも円滑に避難できるようにしたい」と応じた。県によると、12日正午時点で県内の避難者7人が宿泊施設に移った。

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