足利で山火事8件、放火か 昨年12月から半径4キロ圏内 発生は未明から朝

火災で焦げた丸太などが残る大岩山毘沙門天近くの火災現場=10日午前、足利市大岩町

 栃木県足利市内で昨年12月から今年1月上旬にかけて、不審火の疑いがある山林火災が8件相次いでいることが12日までに、足利署や足利市消防本部への取材で分かった。現場は同市北部の山あいで、未明から朝の時間帯に発生。いずれも現場に火の気はなく、足利署は放火の可能性もあるとみて捜査。夜間の警戒を強化し、「不審な人物などを見かけたら通報してほしい」と呼びかけている。

 同署などによると、不審火の疑いがある山林火災は昨年12月10日未明、同市大岩町の2カ所で発生した。翌11日未明にも同所の山林で出火し、パトロール中の足利署員が発見した。

 年末の同28日には松田町で発生。大みそかの31日と今年1月3日には、大前町の山中にある山前公園内を焼いた。同6日には山下町で竹林、7日には松田町で山林の火災が相次いだ。

 現場は半径約4キロの範囲内で、いずれも下草や木などを焼いた。けが人はいなかった。最も規模が大きかったのは昨年12月28日の松田町の火災で、約4千平方メートルを焼いた。消火には群馬県の防災ヘリが出動した。

 捜査関係者によると、いずれも現場に火の気はなく、不審火の可能性が高い。ある火災現場付近では不審車両の目撃情報もあった。

 足利市消防本部によると、2022年は市内で山林火災の発生はなかったが、23年は10件に増加。このうち5件が12月に集中した。

 3件目に当たる昨年12月11日未明、大岩町の山林火災では、同所、大岩山毘沙門天(最勝寺)の駐車場のそばで、木々が生い茂る斜面が激しく燃えた。沼尻了憲(ぬまじりりょうけん)住職(72)は「社務所にいてパチパチという音が聞こえた」と振り返る。約3時間後に鎮火。沼尻住職は「本堂が燃えなくて良かった」と胸をなで下ろした。

 市内では21年2月、西宮町の両崖山(251メートル)で大規模な山林火災が発生した。約167ヘクタールを焼き23日目に鎮火した。市は出火原因を「たばこの不始末」と推定している。

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