のと鉄道 波打つレール復旧見通せず代替バス検討

トンネル内に流入しレールを覆う大量の土砂=10日、穴水町乙ケ崎(中田社長提供)

 風光明媚な能登半島の海沿いを走るローカル線「のと鉄道」。地震で被災し、全線運休が続く。被害は大きく、復旧に時間がかかることから、同社は13日、バスでの代替輸送の検討に入った。

 穴水駅構内ではレールが破断して浮き上がり、ホームの至る所に亀裂ができている。9、10日に行われた鉄道建設・運輸施設整備支援機構の鉄道災害調査隊による調査では、大量の土砂が線路やトンネルに流入し、地面は隆起してレールが波打っていることが確認された。枕木が浮き上がった場所もあり、のと鉄道の中田哲也社長(61)は「もうジェットコースターみたいなもんですよ」と力なく語る。

 中田社長は、全線復旧の見通しは立たないとした上で「何もしないわけにはいかない。まずはバスを使った輸送計画を早急に作りたい」と話した。乗客の約7割を占める通勤・通学の定期利用客のため、高校の授業再開を見据えて準備を進めるという。

 列車に関しては、車両が留め置かれている七尾―能登中島(七尾市)の一部区間での再開を模索する。

 のと鉄道は全長約33km、8駅からなる。全線が世界農業遺産に認定された能登の里山里海の中を走り、車窓からは日本の原風景が堪能できる。

 のと鉄道の観光列車に手を振り、「悦ちゃん婆ちゃん」の愛称で知られる菅原悦子さん(90)=同町根木=は「運転再開まで元気でいたい」と話した。

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