岸田政権、台湾の平和と安定重視 中国動向念頭

 岸田政権は、13日の台湾総統選で与党、民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が勝利した結果を踏まえ、台湾海峡の平和と安定の重要性を引き続き重視する方針だ。背景には、頼氏を独立派と見なす中国が軍事的圧力を強めかねないとの懸念がある。日台非政府間の実務関係を維持し、先端半導体分野などで協力と交流を深めていく。

 上川陽子外相は頼氏勝利を受け祝意を表する談話を発表。日本と台湾は基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有しているとして「極めて重要なパートナーであり、大切な友人だ」と強調した。

 頼氏は2022年7月、銃撃事件で死去した安倍晋三元首相の葬儀に参列。能登半島地震の発生直後に支援を表明しており、日本はさらなる関係発展を狙う。一方、台湾統一を目指す中国が頼氏への警戒感を強めるのは必至だ。

 米下院議長が22年8月に訪台後、中国は台湾周辺で大規模軍事演習を行い、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発を落下させた。軍備増強を続ける中国の動向が、日本の安全保障に影響するとの見方が広がっている。

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