松浦・志佐で「大般若」 経箱くぐり、無病息災願う

無病息災を願い経箱の下をくぐる住民=松浦市志佐町里免

 長崎県松浦市志佐町里地区で11日、新年の伝統行事「大般若(だいはんにゃ)」が行われ、住民が経典を納めた木箱(経箱)の下をくぐって今年一年の無病息災を祈願した。
 江戸時代に一帯で伝染病がまん延した際、地元の寿昌寺の大般若経を唱えて回ったところ、病気が鎮まったことに由来。里地区を含む町内の数地区で現在も受け継がれている。
 経箱の担ぎ手は厄年か還暦を迎える人から優先して選出。今年は赤間光孝さん(59)と地区役員の川内清孝さん(71)が担った。午前8時から「だいはんにゃー」と呼びかけ、夕方まで同地区の約250戸を回った。
 呼びかけを聞いて家の外に出てきた住民は、経箱の下を行き来して家内安全を願い、ご祝儀などを奉納。邪気を払う力があるとされる紙垂(しで)という白い紙が手渡された。同地区の吉本一朗さん(79)は、妻の綾子さん(79)と一緒に「今年も元気でやれそうです」と笑顔を見せた。
 平日で留守の家も多かったが、今年還暦を迎える1人として同行した吉本美子さん(59)が各家の玄関先を海水で清めた。

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