県民の健康増進へ、アプリ開発 山形大、コホート研究の成果活用

健康増進に役立つスマートフォンアプリの開発について、説明する今田恒夫教授(左)=山形市・山形大小白川キャンパス

 山形大は、県民の健康づくりに役立つスマートフォンアプリの開発に取り組んでいる。同大医学部が県民約2万人の検診データを収集して取り組んできた「山形コホート研究」の成果を生かし、一人一人の生活習慣や既往症に応じたアドバイスを行い、健康に関する意識変化などを促す。来月にもテスト版の運用を始め、2024年度は千人規模の住民が参加する実証実験を行う方針だ。

      ◇ 

 異分野連携によるコホート研究発展に向け、全学横断組織として23年度に立ち上げた「山形大Well(ウェル)―Being(ビーイング)(心身の健康や幸福)研究所」の活動の一環。医学部の今田恒夫教授(公衆衛生学)は「成果を還元しようと講座や政策提言などを実施してきたが、効果が限定的と感じていた。本当に生活習慣の改善を必要とする人に情報を届けるため、アプリは有効性の高いツールの一つとなる」と強調する。

 アプリは、コホート研究で得たデータを基に、生活習慣病や要介護状態に陥るリスクを予測することができる。アプリ利用者が毎日の食事や運動、睡眠、体重の推移といった情報を入力し、人工知能(AI)が分析。利用者の特性に合わせたアドバイスを行い、健康寿命延伸などにつなげる。

 来月から、医学部と包括連携協定を結ぶ山形市や、同大の職員ら約100人にテスト版を利用してもらい、使いやすさの改善などを図る。今年秋ごろをめどに山形市民千人程度の協力を得て試行を始め、25年度以降の一般公開を目指す。

 今田教授は「アプリで収集したデータを健康・福祉政策の立案などに活用できるよう、各市町村との連携も強化したい」としている。

© 株式会社山形新聞社