特殊詐欺被害防止へ佐伯署が啓発ドラマ制作 署員熱演「楽しく学び財産守って」【大分県】

言葉巧みにだまそうとする犯人とのやりとりを描いた啓発ドラマの一場面
特殊詐欺の被害防止へ啓発ドラマを制作した佐伯署生活安全課の(左から)原野敦史課長、梶間良平巡査長、佐藤佑樹巡査長=佐伯署

 【佐伯】特殊詐欺被害の防止に役立てようと、佐伯署(染矢憲康署長)が啓発ドラマを制作した。脚本から演出、出演、編集まで全て署員がこなし、詐欺の手口と対策についてユーモアを交えてまとめた力作。「大切な財産を守るため、楽しみながら『免疫力』を高めてほしい」と、講話などの機会に上映する。

 ドラマは「還付金詐欺編」と「サポート詐欺編」の二つ。昨年12月中旬の啓発イベントに向け、生活安全課が約1カ月かけて撮影した。両編とも十数分の長さで、受話器の向こうから言葉巧みにだまそうとする犯人とのやりとりを描く。

 犯人役は市役所職員やIT企業の社員を名乗り、「すぐに手続きをしないと間に合わない」「電話を切らずにATMに行って」といった言葉を被害者役に投げかける。実際の事件を基に、典型的な“怪しいポイント”を盛り込んだ。

 佐伯市のさいき城山桜ホールで開催した啓発イベントで初上映し、地元中学生ら約600人が視聴。真剣な表情で見入り、署員のややオーバーな熱演に笑い声が上がるなど反応は上々だった。

 演出、脚本、編集と詐欺を見破る市民役も務めた原野敦史課長(49)は「楽しく学べるよう笑いを盛り込んだが、決して大げさな内容ではない」。犯人役の佐藤佑樹巡査長(40)と被害者役の梶間良平巡査長(33)は「言葉だけでは伝わりにくいものもある。効果があるよう一生懸命に演技した」と話した。

 今後はより分かりやすくなるよう手直しを加え、高齢者教室などで活用していく。インターネットでの公開や、少年非行など他部類の制作も考えているという。

<メモ>

 県警によると、昨年、県内で起きた特殊詐欺被害は約200件、被害額は2億9440万円で、いずれも前年から増加した。佐伯署管内では10件、計5900万円超に上った。

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