鉛筆の歴史、書き味体感 「弘道館2」小学生特別講座 三菱鉛筆生みの親、眞崎氏の挑戦学ぶ 佐賀市

三菱鉛筆の社員を講師に「未来を描く文房具学」の題で開かれた「弘道館2」=佐賀市巨勢町の巨勢公民館

 佐賀藩の藩校・弘道館をモデルに佐賀県関係者から学ぶ講座「弘道館2」の小学生向け特別講座が13日、佐賀市巨勢町で開かれた。同町出身の眞崎仁六(1848-1925年)が三菱鉛筆の前身を創業したことにちなみ、児童31人が同社の「一日社員」を体験。鉛筆の知識や眞崎の挑戦を学び文房具の未来について考えた。

 同社の小笠原恵子さんと中村恭一郎さんを講師に、「未来を描く文房具学」のテーマで開いた。小学4~6年の参加者は、同社の入社式と同様に鉛筆削りからスタートし、鉛筆の歴史などについてクイズ形式で学んだ。眞崎が1878年のパリ万博で展示された鉛筆に衝撃を受け、独学で研究し、日本で初めて鉛筆の工業生産に成功したことなどが紹介された。

 HB鉛筆の書き比べでは、軸の塗装回数が多い方が書いた時の振動が手に伝わりにくいと実感。芯の粒子が細かいと滑らかな書き味になることも学び、同社で10Hから10Bまで22種類ある硬度の違いも確かめた。

 日本の鉛筆生産は1966年の13億8500万本がピークで、ボールペンなどへの置き換わりや少子化を背景に現在は約7分の1に落ち込んでいる。同社も総合筆記具メーカーとなり、ペンタイプの化粧品の開発なども行っているという。

 この現状を踏まえ、一日社員として「書く、描く」ことの未来を考えた。文房具好きという西郡(にしごおり)希子(きこ)さん(佐賀大附属小4年)は「算数の立体図形を描くのが苦手なので、3D鉛筆のようなものを作り簡単に描けるようになれば、算数も好きになり鉛筆もどんどん使える」と発表した。(古賀真理子)

鉛筆の濃さや硬さの違いを書いて確かめる児童=佐賀市巨勢町の巨勢公民館

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