「守れなかった悔しさ…」 醍醐寺から株分けされた樹齢130年のサクラ伐採 関係者ら別れ惜しむ

愛媛県今治市の無量寺に植えられた樹齢130年を超えるシダレザクラ。
木を枯れさせる微生物の影響で弱ってしまったため、14日伐採され、参拝者らが寺の春を彩ってきた名物に別れを告げました。

無量寺のシダレザクラは京都の醍醐寺から株分けされたもので、樹齢は130年以上。
毎年3月に見ごろを迎え大勢の花見客を楽しませてきました。
ところが、住職によりますと、およそ20年前から木材を枯れさせる微生物「木材腐朽菌」に蝕まれ、かつて空が見えないほど咲いていた花は段々と減っていました。

(無量寺 龍田宥尚 住職)
「この朽ちた老木を見ると心が締め付けられるような思い。全ての物は諸行無常だと申しますけど、分かった上で素晴しい物が無くなるのは辛く悲しい」
住職は枯れた枝が落ちると危険なため伐採を決断。

一方、手入れを担ってきた造園業の石丸厚志さんは悔しさを募らせます。
(石丸厚志さん)
「保育園があって、子供がたくさん木陰で遊んで花の時期にはお花見に来ていた。今回だいぶん切らなくてはいけない状況になった。守れなかった口惜しさ」

14日は供養伐採式が営まれた後、シダレザクラにチェーンソーが入ります。
そして、幹が切り倒されると「木材腐朽菌」に蝕まれ空洞になった断面が露わに。
訪れた人は無量寺に春を告げてきたシダレザクラとの別れを惜しんでいました。

(訪れた人)
「寂しい気持ちと咲いてくれた長い間の感謝の気持ちが混ざりあって何とも言えない。とってもきれいだったので無くなるのは名残惜しい」

境内には醍醐寺から提供されたり、伐採されたシダレザクラから接ぎ木されたりした7本が育っていて、人々は無量寺が花々に彩られる春を心待ちにしています。

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