白鷹の畜産農家の乳用子牛、米国でトップ評価 優れた遺伝的能力、生産拡大へ

 県畜産研究所(新庄市)が白鷹町の畜産農家に供給した受精卵から生まれた乳用の子牛が、米国ホルスタイン協会による遺伝的能力評価で、共に解析された日本国内の約15万頭(成牛を含む)のうちトップの評価を受けた。生産性に関係する乳の量や成分などが特に優れていると認められた。県が15日発表した。関係者は結果を弾みに、能力が高い牛の生産拡大を図るとしている。

 県によると、この子牛はいずれも米国由来で高い遺伝的能力が期待される父母を持つ。母は同研究所が米国から取り寄せた受精卵から誕生した。県は母の卵子と米国由来の雄の精子を交配させ、受精卵を白鷹町のみやま・ミルクえん(樋口一彦代表)に供給。同所で昨年3月に生まれた。

 同協会の遺伝的能力評価は年3回公表しており、血液などを調べて遺伝子配列を解析し、生産性や繁殖性を判断している。県は同様の個体について、生産者の協力を得て本年度から評価を受けている。この子牛の評価指数は昨年12月に公表され、日本国内から出された15万1330頭のトップだった。特に乳量や、脂肪やタンパク質といった乳成分、生産寿命に優れ、日本を含む全体の解析数630万頭の中でも上位1%に入る数値だったという。

 みやま・ミルクえんによると、子牛は大きな病気もなく順調に育ち、担当者は「搾乳の時期が楽しみ」と期待する。飼料高騰など酪農家を取り巻く状況が厳しい中、県は「明るいニュースだ」とし「高評価を受けた個体を基に、さらに生産性の高い乳牛を増やしていきたい」としている。

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