【能登半島地震】JMAT福井が石川県穴水町で医療支援 病院行けず薬切れ、不整脈やふらつき…避難者を巡回診察

避難所で被災者(右)の診察に当たJMAT福井のメンバー=1月13日午後、石川県穴水町菅谷

 福井県内の医師や看護師らで構成するJMAT(日本医師会災害医療チーム)福井は、能登半島地震被災地の石川県穴水町で医療支援活動を行っている。第1陣は1月13日に開始、避難所になっている集会所4カ所を巡回し高齢者らの診察に当たったほか、発熱した被災者宅を訪れてインフルエンザと新型コロナウイルスの検査などを行った。1月中に計6チームが活動する。

 能登半島地震の発生から2週間近くたち、JMAT福井の医師らは「被災者のニーズに合った医療を届けたい」と精力的に活動。高齢者らは「福井からわざわざ来てくれてありがたい。安心できた」と感謝していた。

 JMATは穴水町では4県のチームが支援を分担。医師や看護師ら4人でつくる福井チームは山間部エリアを担当した。この日は雪が降る中、避難所4カ所を巡回。周辺の道路は車線の片側が崩落するなど地割れが多く、積雪が15センチほどに達した集落を移動した。

 現在15人が避難している木原地区集会所では、高齢者の血圧を順次測定。大瀧憲夫医師(62)らが「つらいところはありませんか」「普段飲んでいる薬はありますか」「よく眠れていますか」などと1人ずつ聞いた。同集会所には体温計がなかったため、避難者に手渡した。

 心臓のペースメーカーを入れている89歳の男性は1月4日に公立穴水総合病院に通院する予定だったが「地震で行けずに薬が切れ、足がむくみ始めた」。9日にタクシーを使って迂回路で何とか病院に行けたといい、「ここのみんなそれぞれ苦労している。診察してくれると安心できる」。自身の診察を終えると自宅にいる近隣住民に電話し、避難所に来て血圧を測ってもらうよう勧めていた。

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 「連日の余震で眠れない日が続いている」と話すのは80歳の女性。血圧は上が震災前より25高い160で、「持病で不整脈があり、ふらつきも出ている。けれど道路が地割れしていたりして病院にはなかなかいけない。診察してくれると気持ちが落ち着く」と、ほっとした表情を浮かべた。

 JMAT福井は、前日に避難所でせきの症状が出た高齢男性宅も訪問。玄関で体温を測り、インフルエンザと新型コロナウイルスの検査を行い、解熱鎮痛剤を渡した。

 大瀧医師は「穴水町では薬局が開いており、薬が手に入る状況にあるのはまだ良かった。ただ避難所では全員が健康管理をしっかりできているわけではないので、そうした人たちのために活動するのがJMAT」と話し、藤井敏絵看護師(49)は「避難者の情報を後続のチームとしっかり共有していきたい」と語った。

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